野宿者支援法成立後の釜ヶ崎の運動
山田 実(釜ヶ崎反失連共同代表・NPO釜ヶ崎支援機構

【司会者】

 昨年の731日に参議院で全会一致で「野宿生活者支援法」が成立し、87日に施行されました。以降私たちは913日にこの件に関しまして、成立以後私たちは何をするべきかという形のシンポジユウムを、連合大阪、部落解放同盟大阪府連、NPO釜ヶ崎支援機構と私たち講座が実行委員会を作って協議しました。一言でいえば法律に対する一定の解釈はあるだろうけれど一応成立を見た。成立した法案のその取り組みはやはり野宿者の具体的な生活、具体的な要求に根ざした形で運動として作りあげて要求していく以外、この法律を生かす道はないということはこのシンポジュウムの中で明らかになったという風に思います。げんてんに9月の成果は、なぜ半年間野営闘争という形で反失連は、野宿の人たちを中心に野営闘争という形で大阪府・市に対して戦い続けていかなければいけないのか、法律が通ったにもかかわらず、いままではせいぜい一ヶ月、悪く言えば釜ヶ崎のドヤ闘争でも一ヶ月の戦いだったのが、それが半年も過ぎて戦いが続けられているこのような局面を、法案成立後の到達後の一年をどのように解釈してきたのか、そのなかから未来を見据えてどのような戦いをしていくべきなのか、実態調査が行われてその結果に基づいて計画がなされようとしている現局面において、何をなすべきかについて反失連の共同代表であります山田さんの方から、この一年の経過と現在どういうところに来ているのか、これからどうなるのかという点についてお話を伺いたいと思います。それでは共同代表の山田さんよろしくお願いします。

【山田】

 山田です。いま島先生からも色々お話があったと思うのですが、寄せ場というところは好んでくる場所ではないわけですからね、何らかの形でみな蹴落とされたり、だまされたり、自分から転げ落ちた人もおりますけれどね。大概はおじゃま虫、いらん子だという事でいまの資本主義の発展のなかで不必要な労働者という形で、いわばかみ込まれて、色々寄せ集められて、そうしてそこで、さっき家畜がどうのこうのという話がありましたけれど、並みの生活をさせておけばよい。

 こいつらはいま犯罪者なんだ、資質も悪いいう事で行政は基本的に、行政だけではないですね、一般市民も含めてそうなんですが社会的に矯正すべき対象だとこいつらは、そういう感覚なんですよ、犯罪者だというね。強制移動なんかしていっているから刑務所ぶち込んでうちムチ叩いて、性根を直せ。そういう発想からいつも施設収容とか、とにかくある意味では病気だから病院へだとか、そういった延長線上での非常にやるべき発想はすぐ福祉だとかですね、医療だとか、社会的矯正だとかどうもそういうような形になっていて、それが当たり前のような感覚になっている。

 それはやっぱり絶対おかしいと、一つの労働という形態を通じて、みんなが社会参加して一つの同じ生き方を共有してやっているわけですけれど、そこから排除される。

 それに対して「怠け者」とか、「お前らだめなんや」とか烙印を押して、その結果としてああいう福祉ですね、野宿者よりは確かに福祉、医療というお説はあるだろうと思うけれど、なんかそれ一つでは短絡的過ぎるし、それをやることによって逆に全員が生活保護、住居を獲得する、しかも全体の権利だということでやって、本当に差別とか排除というのを解消されるかといったら、僕は全然されないだろうと思います。

 寿の人、確かにほとんどは生活保護になっている、覇気がないですね。あれで寿に対する、日雇い労働者に対する、寄せ場に対する差別がなくなるかといったら深まることはあってもなくならないですね。だから基本的にはそこで働く関係を通じてしか我々は同じ人間ということを確認できないです、平たくいったらですよ。働かなくてはいけないですから働く場、つまり労働をもう一回再獲得していかないことには、それはまず基本的には社会関係は作られないわけですから。

 そこら辺りで釜ヶ崎はやっぱり昔からそういう意味では、働き人の町なんだということで、労働を主体にした運動を組み立てていこうということでずっとやってきました。そういった中での野宿者支援法でありましたし、暴力飯場との戦いもありました、いま仕事がないということで、「半失業」「仕事をよこせ」「仕事を保障しろ」と、こういう戦いをいまやっておるところなんです。

 ある意味では一番難しい本質的なところの戦いを、あえてドンキホーテばりに竹槍をぶちかましてきてですねこの十年望んできたわけであります。

 しかしこれだけで幾ら立派な御殿があてがわれようとも、みんなちっともよくならないのではないかと考えています。だから例え1000円の仕事であろうともそういう仕事を通じての社会参加を獲得することの方が、より将来もっともっと同じ人間として、色々と差別の問題とか、排除の問題とかを克服できていくのではないだろうかと、私は考えておるところであります。

 そういったことを軸にやっと去年支援法というのを一応獲得はしました。その過程のなかで色んな動機があったのです。いま現実に困っているといったら、すぐに飯の問題、住居の問題がまず重要です。住居を施設でまかなえ、寄せ場修業の延長やこんなのは、そして** これもあるだろうと思います。そういった論議というのがいまも続いておるんです。いま当面の対案するというのは99年に、98年の暮れから動いて99年の春先に、国が「野宿生活者に対する当面の対応策」というのを打ち出して、自立支援センターを作ってそこに職安をくっつけて、そしてもう一変再就職させようという形をとっています。

 これも自立支援センターというのはいま大阪でも289人ですね。野宿者は今回の調査でも6500人以上占められていると思います。大阪府下で7500人おるわけですけれど、この280名余りの自立支援センターを作って、しぶしぶと半年間寝泊りさせて相談員が就職を斡旋したところで、わずか数割しかおそらく就職できないと思うんです。そうした限界を訴えてやっぱりそれではだめだということで結局就職できないからというのでつぎどこ、またどこかで悩んでいるのかといったら生活保護、こういうことすぐ出てしまうんですよ。

 それで自立支援センターもダメだと、それでの就職もダメ。自立支援センターで就職できなかったら、私いいましたよ、「全部生活保護かけてしまえ」と、それをするんやったらまあ半分目をつむってもいいわという言いかたもしました。しかし、やっぱり運動としたら自立支援センターで就職できない、半年たった、そしたらもう一変野宿させるわけにはいかない。確かに居宅はあれなんですが最低すべきなんです。それはですね一番最後の下の下の策だろうと思うのです。

 就職できなかったらどうするのか、なぜ就職できないのか。ましてや要らないという形で「あなた年だし」とかいって、「労働意欲もない」「技術もないからいらない」といわれてる人が、そうした結果失業して野宿しているのですから、もう一変投げ返したところで受け取ってくれないですよ、当たり前でしょ。もう一変ちゃんとある意味での技能を身につけるとか、勘弁するとか、その過程をえて一年、二年のスパンは要りますけれど、再挑戦は可能だと思うんですがそういうことを十分しなくて、ただ受け取ってくれといっても資本の側とすれば「頼むからやめてくれ」といいますよ、まあそういった状況です。

 いま景気がよくてドンドン資本が吸収する能力があったら、かつての釜ヶ崎みたいにバブルの時は、足を引きずってる足が痛い7580歳のオジイちゃんでもいいから乗れといって、車に乗っけていってもらって13500円をパッと出してもらっていたんですよ。

 いまはそういう時代ではないわけですから、まして短絡的に自立支援センターを作って住居・住むところ、衣食住、身なりを整えてやったら就職できるでしょう、こんなんで出来っこないわけですよ。

 だからさっきもいったんですよ、何ですぐに生活保護に行くのかというから、こないだ文句いったんですけれど、我々運動団体のなかでまず就職できない人の現状を、民間の吸収能力がなかったらやっぱり国がキチッと社会参加の在りかたとしてもキチッと公的就労を作って、就労保障すべきだと。まず働き口を作って働かせろと、それをキチッと責任を明らかにして追及すべきだと。

 それで国がどうしても就労対策をやらねえというんだったら、それだったらどうやって野宿しないで住むようにしてくれまんねん、という言いかたで生活保護もあるだろう。その内容を抜きに「何でいつも君たちは短絡的に住居がないからすぐどうしてくれまんねんと」、逆に排除の延長線上だよ、決していいことではない、社会的にやはり排除される。排除のあり方というのは具体的には労働を通じて、労働をさせてくれないという形で明確に分けられていくわけだからね。

 そのところでキチッと闘いを組織しないで、ただ単に住居を与えればいいというのは短絡的で、やめてくれという形で大分嫌われながらですね、生活を否定しているのではないですよ。よく誤解されるのですけれど。

 いかに就労対策が必要か、或いはいまの資本主義発展のなかで段々中高年筆頭に疎外されて働き口が奪われて、気力も自主も奪われて自殺に追いやられていくという考えた場合、すぐ年金でしょ、生活保護でしょということではないだろうと。中高年であろうとやっぱりずっと体が元気なうちは同じように社会参加したい、働きたい、それで誇りを持ちたい、みんなと共通にそういった形で生活したいという要求があるわけですからこれを獲得する。

 つまり半失業ということで「仕事を保障してくれ」「仕事をよこせ」と、或いは自分たちで作ろうと仕事ですね、仕事を自分たちで頑張って行こうという動きになぜならないのかという形で、私はガミガミいってきた経緯があります。いまだに大分愚痴っぽくよく言ってるんですけれど。そうしたなかでやっと全国の野宿者運動に関わっている仲間たちも、昔から就労対策が必要だということは頭では理解されているんですよ。実感としてというかはよくわかっておられない。というのはいまでもたいして変わりがないんですけれど、そうした仲間を自立支援センターに入っても就職できない、やっぱり何らかの就労対策が必要だろう。公的就労を作ってそこで頑張って整えて、そこからまた色んな若い人たちのメッセージというのはパッと動いてですね、もう一変チャレンジしていくような仕組みがいるだろうということで、やっぱり公的就労が必要だという形で東京・関東は大分そういう方向になています。

 寿でも仲間たちはやっぱり仕事が必要だということで、働いてちゃんとやっていけるような仕組みを取り組み始めています。逆に寿の場合は下手に公的就労を要求したら難しいよ。だって働かなくてもみな最低メシ食えるんだもの生活保護で。ドヤもちゃんと保障されるし、飲み屋もあるし、カラオケ屋もあるし、ばくち場もあるし、何でそれをかなぐり捨てて仕事しなあきまへんねんという話がでるから、よっぽどそういう公的就労とか、仕事が必要だということはキチッと位置づけて打ち出さないと誰もついてこないよと。逆に寿で「仕事よこせ」の闘いをやる場合は、一番難しいんじゃないのっていまの現状ではという言い方をしてきたわけです。

 名古屋あたりでもやっぱり必要だということで、いまの野宿者生活者から嘆願署名ではないですけれども、愛知県と名古屋市に対して要望・署名活動をやっている。仕事保障を何とかかんとか準備が出来てですね、どういった形で立ち上げるかわかりませんけれども。

 やっと全国規模でそれはやっぱり仕事が必要だなと、仕事は大切だなということが徐々に広まっておるというふうなのがいまの現状です。だからといっていま一生懸命やっている福祉の問題とか、居宅を持っていかなならないような問題とか、これをないがしろにしろと言っているのではないのです。それは十分やりつつ其処できちっとしたものを作っていかないことには、本当に福祉の問題に生きてこないであろうと考えております。

 そういった動きとしてはいまやっと10年目にしてそういう状況になっている。しかし国の方はいま漠然と「仕事よこせ」が必要だといわれても、国はちっとも動きません。ある政治家先生は「お前ら仕事よこせ、仕事よこせというけれどもまともにちゃんとやれそうなのは大阪だけじゃないかと、あとどこがやれるねん。たった大阪だけのために国が特別なそんな政策作れません、どないするねん」という言い方をされています。

 私も「いや大丈夫です、最低全国の四大都市の福岡市と言うのは難しいけれど、やります」ということはいうとるんですが、今の時点ではやはり3〜4年かかるかなと言うことで、一寸頭を抱えているのですが。そうしたなかで、とりあえず支援法と言うのができて今年の6月には、一応基本方針が発表されようとしているのです。ただ支援法ができたときに基本的には仕事の問題ですね、雇用・住宅・医療だと言うことで三つの柱を軸とした内容にはなってはおるんですが、このような問題についてことさら別の特別な仕組み、制度を作って対応する気がないと言うことは最初から言うております。

 例えば雇用対策の場合はですね、これは300万対象ですね、足して特別な財政処置というものを含んで事業法作ってそうして展開してまいると。かたやホームレス何人やというたら3万人ですね。この間も国の調査では2万5千なわけやから、たった2万5千のために特別な法律作るわけにはいかないという様な発想なんです。ところがこの2万5千人に現れているような問題というのは、実は300万の問題ではないんですよ、不安定就業者も含めたそういう低収入のあり方、貧困層を含めた1200万くらいが対象だと思っているのですよ。

 ホームレス支援法の中では(ホームレスに)至らないような、至までに食い止めるには、よほど資本というものが盛り込まれていますから、実際には予防対策まで考えたら、とてつもない規模で展開しないことにはダメじゃないかな、その軸というのはやっぱり雇用対策だと思っているのですが、そうやりたくないが故もあるかもしれません。ホームレスの問題も結果として野宿している人だけの問題にして、25千を縛ることですね。その人たちの為だってしたら制度なんてわかるでしょ、とこういう感じですよ、出来ますか、世間が納得しないとやらないんですよ。

 じゃもう一方で、たった25千人の人はどうしていくねんという話であります。さっきもいったように民間に吸収する能力がないのに、ハローワークを通じて斡旋やったところでどのようにも仕方がないわけですしね。じゃ全員、たかだか知れているのではないか、25千人わずらわしいことやめて何でもいいから生活保護も全部かけてくれと、居宅も全部持っていって、そうしたら俺もすっきりするからと、いう言い方をしたこともあるんです。いまだにたまにしますけれど。

 そのほうがわずらわしい予算組んで色んな事業作ってやるよりは、いちばん簡単やろうというのです、それはやっぱり出来まへんねんという言い方を、こないだもしておりました。これは一寸基本方針の作業に入っているということですので、前のほうで一寸文句だけいっておかないとあかん思いまして。まあ雇用対策法でもそうでしょう、高齢者とか、障害者とか或いは就職困難層という形で、障害者も高齢者も入るわけですけれど、それを被差別地域の人たちもそれの対象になっているという形で、何らかの対策を打ちますということになっているのですけれど、そこでホームレスというのが入っていないわけですよ。同じような内容でやりますというようになってますけれど。

 大阪市・府の役人ははっきりいいますよ、予算編成するときに優先順位がある、法律で決まっているのはシルバー、これは雇用法で決まっている。障害者もこれを雇用ということでバーンと別枠で予算を組んでいます。そうしますと優先順位が色々ありまして、ホームレスは一番ドベだと、そうしたらあんなちっぽけな予算、つまり大阪府・市も赤字でヒーヒーいってるわけですから、国も無いですよね。そうしたら実際にはそういうやられ方をしておったのではどうしようもない。逆に大阪府・市は開き直っています、国がやるべきだといって、国が予算つけたらわしはなんぼでもやったる、だから私らにいわないで国に文句いうてくれというんで、ずっといってるんですよ。

 かつては違っていたんですよ、それは福祉の問題やということで、大阪市が全部福祉でやるべきだといっておったのですが、最近は福祉もですね。とにかく国が予算組んでくれたらやる、確かに就労問題だと、結局は就労対策抜きには解決しようがない。幾ら支援法を作っても、ただ単に家を求めても誰も入らないわけですよ。仮にもう一寸立派な御殿があっても、本人が満足して入るかといったら五分五分だろう。

 いまシェルターがお粗末だから入らないという問題ではなく、やっぱりみんなテントを組んでそれなりの仕事をやっています。アルミ缶とか、色々な事業をやっているわけですからね、それはそれで自分の生きかたとしてサイクルを作ってやってきている訳ですから、彼は彼なりにひとつの社会参加のあり方として頑張ってやっているわけです。

 それを捨ててシェルターに入って、在る為に入ったとしてもですよ未来永劫もらえるかというとわからないわけですから、みんな躊躇しちゃうんですよ。もう体が不自由だとか、病気でもう肝硬変で先行きがない人は別ですよ、そうでない人は幾ら居宅に持っていくからといって、三ヶ月経ったら追い込みかかりますからね、「就労」「就労」といって入ってきますからよっぽど図太い人でない限り、「何いってまんねん」という形で開き直って、生活保護受けずにやってくることが難しい。しまいに根負けして飛び出してしまうんですよ。

 そうしますと何回もいいますけれどどうやって仕事してもらうか、さっきもいったように民間で作る能力もないし、まして人を雇い入れる余力もないからやっぱり公的就労、事業を作ってその仕組みをキチッと国に基本方針として歌わさん事にはダメだろうと思っています。

 まあ負担になる就労対策は必要だとか、どうのこうのだけではなくてどういった内容になるかわかりませんけども、一応基本方針は簡潔な文章になるだろうということは聞いております。理念とその対策の基本的な柱としての雇用・住宅利用についてそれぞれがやるということなんですよ。

 このあいだ聞いたところによると、住宅問題はこれは国土交通省がやることなんですよね、それが民間住宅も、公営住宅も含めてにしろ統括する。あと全体の土地とか、日本の国の土地とか建物は全部国土交通省が一応いちゃもんつける権利を持っているみたいですから、結局はそこでみなが野宿しているわけですよね。

 はっきり言ったら厚生労働省というのは関係ないですよ、適正化の問題も厚生労働省は関係ないですよ。一番問題なのは国土交通省の柱なんですよ。道路だってそうでしょう、河川だって、山だってなんだって全部国土交通省の管轄なんです、しかも此処が莫大な予算を持っているのです、働く場所も持っている。

 国土交通省のお役人さんは住宅課の連中だけがシャシャリ出て、他にも来ているのがねそいつらは黙っています、住宅の奴らはですね一応公営住宅についてそのシェルター入所者・卒業生については何とか年間10戸とか20戸くらいづつ確保していきたいとか言うてるんです、そういった方針しか書かない。一寸待てよ、国土交通省はそんな住宅、公営住宅を何とか優先順位で割り当てますよということと違うでしょと、かつ優先順位を設けたところで大阪はペケですね。

 よその自治体は逆に公営住宅が有り余っていて使ってくれ、使ってくださいというところが一杯あるらしいですよ、ところが誰も振り向かない。逆に大阪は公営住宅は何倍か忘れましたけれども、全国で一番競争率が高いのです。この人たちは一生懸命酒も飲まんと遊びもしなくて、一生懸命何とか家族のためにとか、将来子どものためにとか頑張っているのですよね。これらは何十万とおるらしいですからこの人たちを度外視して、ただ困っている、私いま野宿で困ってまんねん、ほんまに何とかしてあげたいという人は一杯おるんですが、そうでない人も多いしね区別がつかない。

 そうするとですね、今日競馬ですってんてんになって一週間ほど野宿やって困ってまんねん、住宅よこしておくなはれ、ああそうですかだけで済むこともあるその場でね、そういった問題も大阪府・市もですね野宿者が優先するといってもおそらく府民・市民がですねOKって言わないね。つまり議会がOKって言わないということです。

 基本方針を作るときも公営住宅云々というのは絶対削ってくれということを、ある議員先生を通じて府にねじ込んだのも大阪市なんです、実情はわかるのですけれどね。

 いずれにせよただ単に住宅問題ではなくてむしろ国土交通省がですね、やるべきことは地元の土地で野宿されてですね、淀川の河川敷はものすごいです枚方まで、私も一寸数はわかりませんけれど。ただ単にどけと排除、これは代執行という既存の制度があるから問題があればやれまんねん、これだけでは能がないということでね、彼らこそがそれなりにまず緊急的に場所を利用してですね、地元の土地というか予算を持っているわけだから、それをもってちゃんと自立を促していく政策を、むしろ国土交通省がキチッと責任もってやるべきだということを含めてこの間、国土交通省へ乗り込んでいってガタガタと、今から基本方針をこのゴールデンウィークで宿題を与えて書くということになりましたんでね、その前に一寸文句いっとかなあかんということになりまして、行ってそれこそ大分ガタガタと文句を言って帰ってきた経過があるのです。

 かたや厚生労働省のほうでありますけれど、依然としてやっぱり常用化だということで日雇いみたいな制度を助長する、或いはその繰り返しですね。こういった仕組みにはならない、全体の流れに反するというのですけれども、国の意向はどうか知りませんけど仕事全体の動きとしたら、全て常用化はペケよということで能力主義になってるし常用化している、そうしたなかで厚生労働省だけが博愛の常用化です、常用就職という形でゴリ押しをしている。

 常用の内容、制度もですね、実は正規雇用とか色々なのでそれなりに保証される体制で就職してよと、これは理想ですよ、私たちもそうしたいそうなりたい。でも常用といってもただ単にひと月20万、アルバイトで働いても常用ですよという言い方なんです。日雇いであろうが、人夫出し・飯場で一ヶ月、二ヶ月働いたら常用扱いなんですよ、保険もなにも持らっていなくて、そこら辺のガードマン会社に行っても常用だ、常用就職しましたということでデータ―がずらずらと出ちゃうんです。二ヶ月・三ヶ月経てばみな三角公園に来てますからね。

 データ―だけ出てあと追跡調査したのかというと「知りません」ということなんですよね。だから言葉でどれくらいかよくわかりません、色々乱雑になっているのですが厚生労働省はそういうことにですね、やっぱり公的就労を作らない。公的という言い方を辞めてくださいというのを堅持しているのですよ、じゃ違う言い方をするわということで、公的にこだわる必要はないと思います。

 実質的にそういう仕組みを作ってくれたらいい訳ですから、かといって一般施策のなかでやろうとしたら不利なんです。国の雇用対策というのは、これは一般施策型といわれるのですけれども、あくまで企業を通じて雇用を生みだす。つまり企業にお金をドーンと投資してですね色々と理由をつけてそれで雇用を生み出して、就労対策ちゃんと失業者を吸収しますよというこういう仕組みですから、流れとしては。

 直接的に労働者にストンと打つような仕組みじゃないんですよね、これをやらないということですから、そんなことをいうとってどうするんだ、そしたら今度はトライアルクロー、試行雇用事業を展開していきますといって、三ヶ月ためしに雇ってもらう、良かったら雇ってねというのが従来の仕組みです。或いは雇用を前提として、雇い入れることを前提にしてそういうことをやるには奨励金を出してくれるという仕組みなんですよね。これを活用して東京なんか頭に走る人が多いですから、そういった会社が結構多いんですよね。利用してそしてポッポないないして三ヶ月使ったらパイして、また新しい人を受け入れてですね、金をもらったらいいんですからこんなボロイ話はない。

 そういう問題が出てくるわけですから、おそらくトライアルクローなる雇用という形でですねといったところで一人や二人就職できるかもしれません。或いは自身を取り戻していくかも知りませんが、これじゃね即時的にみんな野宿者を助けたことにはならない。そうした場合やっぱり理屈ぬきでとにかく野宿者を脱出する施策としてですね、やっぱり公的就労を作ってそれでもって保障する。かつての第二失対みたいなものを誰だってやりたくない、仕事に反するようなこともしていますから。私たちも実際としてはやらなくては仕方ないんですけれどもね、緊急就労対策、路上から脱出策として5年なら5年のスパンでの緊急就労対策という形で位置づけてやれば、という言い方をしているのです。それやったら別にかつての第二失対のようにはならないでしょうとかですね。

 あと第二失対で一つは労働組合です、全日自労、これが権利を振り回して工作して日雇い制度を助長した。こういったことは全然やりたくないというのは国なんです。良いか悪いかは別にしてそうならない仕組みにしましょうということで、私たちは当初からいまみたいなNPOを作ってそこを受け皿にして、いつでも公的就労を打ち切ってもいいですよという仕組みですよね、国がストレートにやっているわけではないですから、ただこういう仕組みはどうだろうかということはチャンと提示はしてきておるんです。

 だから色んなそういった受皿をどうやって転がすか、基本的にはかつての失対のようなイメージにはならない、ということも考えてですねどうやって行くか、やろうと思えばなんとでも出来ると思っているのです。そこら辺の問題をキチッと厚生労働省のほうには財務官がついて、やっぱり最低特別な予算、特別なそういった基金を作ってやることはできなくっても、かつ一般施策の窓口は対応できないとしてもですね。

 国土交通省の各地方整備局、近畿地方整備局というのがあるのですが、そこは全体の何十億かしらの予算のうちいくらかはホームレス対策の予算として割り当てて、就労訓練とか、勤労意欲の助長とかですね、能力開発何とかかんとか銘打ってやれるようにしてくれたらなあというふうに思っているのです。そういうことで最低キチッといくら事業やりたいといっても、予算がなければこれはできないのですから、一般の予算枠、一般の施策の枠だったら他の一般市民・一般国民が優先なんです、こういう言い方をします。

大阪なんかでも府・市民が優先なんです、ホームレス・日雇いは市民じゃありませんからね。これは日本の社会で住んでいるのですけれども、制度的にも同じ国民として扱ってくれないのです。排除されている人々ですから。いまだにそういう処遇な訳ですから、私たちはまた一般の制度では無理だ。基本的にはまず初めには予算ありきですからね、それが執行できるような、いまやったら地域特別交付金なんとか、何とかでいまの緊急雇用対策をやっていますわな。そういった仕組みでホームレス対策予算を出してくれよと、それを各自治体が実情にあった形で手を加えて一つにしてねと。大阪なんか就労対策としてやってもらいたい。

まあ他の地方都市ではですね勢い50人、30人のところをですね、財政も構える必要もないです。そういったところを一般の福祉施策とか色んなのをもう一寸重点にやってですね、やった仕組みでいいかなとも思ったりしています。ですからそれぞれの地域、地方性、規模の大小こういった実情にあった形で対策をストレートに打てる、一般市民からも横槍を入れられない、予算を分捕られないそういった内容で作ってちょうだいよと、つまりそういった形で法律が、制度が、仕組みが動くような基本方針にしてねということで、書く前にとに角いうことを言うて参りました。

ただ国のほうですね委員会を設けて基本方針を前もって論議やることはしないといってました。どないなりまんねんというと、国土交通省の政策何とかかんとかの担当官、課長補佐くらいの人がですね、基本的に国土交通省の割り当て分を書いてた。旧労働省の職業安定局のですね、高齢障害者何とかかんとかの課長補佐くらいの担当官が書いている。そういう風に地域福祉ということから色んな事を書いている、これを寄せ集めてうまく擦り合わせて作っちゃう、いわば全体も部局内で調整して出しているという事ですから、じゃあとからいちゃもんつけれませんのかと聞いたら、よその部局のものが書いたものについてですねもう一変書き直してくださいとは言えない、それは無理だしタブーだ。それやったらどうしようもないやないかと話していたが、向こうとしては枝葉については多少入れるけれども、出てきた枝については入れませんということでしたのでね、困ったなということで考えておるところなんです。

もう一つはですねそういった状況も見据えて、去年の9月から大阪城で野営テントを張りました。ただ単に今の就労事業を増やしてくれというだけじゃないんです。勿論増やしてくれるのは大いに増やしてくれて良いんですけれど、今日的状況といいますとね基本方針策定をめぐってですね、実際に大阪で1万人なら1万人対応できるような即時的に路上からまず緊急的脱出できるような施策をどう作らせていくか、出していくか、それがやれるような基本方針をどう作らしていくかとうことを念頭においてですね、今の実情に対応できるような方針を出せということで、三ヶ月或いは四ヶ月まあ9月までは仕方がないのかなということで、お金が続く限りということも前提になるのですが、とりあえず自治体に位置づけてそうして頑張ってきた経緯があります。

 ただ単に三食飯が食えるからいいという話ではないですし、普通のそれなりにちゃんとした屋根のもとで、涼しさもちゃんと確保しながらそうしたいのですが、いまの中ノ島の仲間はですねそれとやっぱり仕事を軸にして、きちっとした施策は欲しいんだという事で、毎日大阪市に対して朝抗議行動をやりまして、午前中時間があったら天満橋とか、淀屋橋とかに行ってカンパ活動をしてですね、広く市民の方にも協力を要請するという形でやっております。

 ただあと大阪市なんですけれど、中ノ島の問題はもう一つ、大阪城から次中ノ島に異動したのですけれど、その経緯についてはですね大阪府では財政赤字でという枠内でありますけれども、何とかやはり就労問題なんだということでですね、基本的に色々考えたけどもやっぱり公的就労以外にないと、国はそういう仕組みをつくれと、じゃもし作ったときはやりますということをメインにしたんですけれども、いまやったとして25日くらいやっと仕事ができますということなんです。いまの段階では府はそれで精一杯かなと思っています。

 そういう状況もありましてね、じゃ市に行きましょうかということもあって市にいってですね、やっぱり理屈ぬきで大阪市の場合は食い扶持の問題も含めて緊急対策をやれということでやってきたのです。去年の12月にも国と交渉したんですが基本方針が出る6月までの半年間、霞を食って寝とけというのかということですね。緊急対策をどう考えとるんやということをですね、国も今年度の予算の前倒しという形でですね、去年の12月ですか、いや10月でしたかに5億円の予算を前倒しということで決めてくれたんです。

 これはただし向こうの地域福祉課の領域も含んであるので、就労対策に回せないということだったのですね、その5億円というのは。ですからどうしても医療福祉、或いは日用品の支給、つまり緊急災害時に毛布とか色んな資材をドンと神戸が出したでしょ、ああいった仕組みしか出せないということですね。ガクっときちゃった訳ですよ。

 私たちはただのばら撒きは良くない、施しは、同じものをばら撒くんやったらチャンと大阪市内を歩いてゴミの一つでも集めて来いと、それから自給1000円やったら1000円渡せとその方が一番良いんだと、だってテント持っている人に毛布持っていってもゴミになるだけですから、いらないから。下手に薬なんか持っていったらそこら辺の三角公園だとか、西成の露天に行ったら色んな薬を売っていますわな、精神科の薬からなんからなんやら、バイヤグラから全部売っているのです。風邪薬から何からね。そういうことになりかねないから、そういうばら撒きは良くないいう風にいってですね、やっぱりどんな形であれそれなりに働いて、そして収入を得るという形をしていかなあかんということで、大分口を酸っぱくしていったのですが、厚生労働省も地域福祉課の範疇であるから、就労対策というようになるから、例え一時間自給1000円ということで渡しすとしても、それは上の職業安定局のエリアやからねすぐにするというわけには行かない、ということで断られた経緯があるのです。

ただその緊急予算も補助率も12、国が12、大阪市が12ということですね。そうしたら5億円のうち、3億円が箱もの、緊急に出るとシェルターを作ってやりなさいという予算で、残る2億でですね腹減ったやろうし、着るものもないやろうしね、そういう日用品類、或いは医薬品類ということで2億円。ところが大阪市は600万円弱組んだんですよね、国はもう一つ一人2万円相当でね2万人対象ということで2億円組んだといっていたんですよね。日用品については、そしたら大阪は1万人やから、なんぼやということで相当な金でしょう。一人2万円でね、中ノ島だって600人飯食いに来ているからなんぼになるんですか、相当な額ですよね。

渡すのかといったらですね、それで最初600万から1300百万かになりましてね、いま3500万という形になって。というのは12は大阪市が負担せなあかんから、こんな予算作れないという形ですね、3500万の相場ですよね、大阪市はその半分持ちですね。その金すらもったいないと、うちらにばら撒くのはもったいないということですね。いま中ノ島はこう着状態になっている。私たちはあそこで寝させるといっているのではないのですよ、早くどっかいい場所へ何とかしてください、基本的には働いてドヤの金も今日びかかりまっさかい、そこで仕事を作ってくださいといっているのですが、なかなかうまくいかない。

もう一つはこの4月から京阪電車の地下鉄工事玉川東に向けて造るということですね、いま調査に入っています、7月着工ということでですね、どうするのかわかりません、出て行けとも言わんし困っているのです。そういったところでいいチャンスやなと思って待っているんですけれども、市のほうは何も行ってこないのです。一寸がっかりしているのです。とに角市のほうも国の方針ができるまでは、自分とこの自主的に造らないし明らかにしない、何もやらないということですよ。

そのためにも緊急対策予算を5億円組んでくれたんですけれども、それも活用しない、予算がないということで。国が100%出してくれたらやるけれどという言い方なんですよね、国もいくらなんでも100%は通らない。まず塩爺が云と言わないといっている。

そういう問題もありまして、結果的には中ノ島でしっかりと頑張りぬくしかねえかなと考えております。みんなそこらへんでは大分確信を持って頑張っておりますので、しおれている人は少ないですけどね、そこでお金も少なくなってきていますので、お金をなくしたらペケになりますからね。できるだけあり余っている人はいなと思うんですけれど、ちょっと今日の自分のコーヒ代を節約しようかという人はカンパをよろしくお願いしたいと思います。

いま一日600食、3回ですから1800食ですか、米は一日250から300`かかってしまうのですよね。定期的に3d買い付けているのですが、月に6dでは間にあわない状況なんですね。米が欲しいですね、米を送ってやろうという人はよろしくお願いします。

炊き出しもただ単に炊き出しを造っていても仕方ないということで、いま仲間の方も元調理師がおりますからね、集まって弁当作りをやっています。大阪市の職員とか、府の職員とかに強制的にモニターになってもらってですね、実験をしているところです。いくいくは野宿者自身がかつての腕を生かしてですね、技能を高めて、もう一寸練習してですねフード関係みたいなのを起ち上がっているような雰囲気もありますので、食材を提供してもらって、もういっぺん腕を磨きなおしてですね弁当作りをやるとかですね。ただ府からお金をもらっている以上はですね、お金をもらって使うことはできんらしいです。これはやっぱり倫理上許されんらしいそういう事はね。

結構釜ヶ崎なども65歳以上の老人もおるんですね、高いサービスくらいは将来起ち上げて事業化していきたいなということで、せっかく毎日3食炊き出しやっているのですから、優秀な調理の技能を持っている人たちを訓練して、やがては配膳センターでも起ち上げていくというように、いま炊き出しの仲間でやっているところです。

あとアルミ缶を集めているグループもですね、やっぱり自分たちで起業してみると、やっぱり銭の問題ですから、自助努力支援事業みたいなものを作ってですね、ということでやっていこうかというものもあります。

ただ単に国は面倒見てくれるのは当たり前やという発想だけでなくて、自分たちの問題でありますから、自分たちでやれることは自分たちで仕事も作っていこうか、参加していこうということで、いまアルミ缶の事業とかですね、さっきも一寸やがて将来は弁当とか、給食センターでも作ろうかというくらいの意気込みで中ノ島で一生懸命頑張っています。

いずれにしても6月に基本方針ができます、このために国は取りまとめの素案作成をやっておると聞いております。これらができるのは20日くらいということですので、22日には一応全国の野宿者運動全国懇談会に全体が結集しているわけですけれど、仙台と、九州とかいろんなそうした仲間が集まって、厚生労働省や国土交通省を相手に基本方針どないなりまんねんという交渉をやる予定にしています。

そのあと613日くらいから仕事よこせ公的就労で、これも仕事よこせに絞ってですね、全国闘争を進めていきたいと考えております。いずれにしても要求するだけではなくて、そういう働く仕組みを含めて自らどう作らしていくのかというのが、この運動のポイントではないかなと思っていますので、末永くご協力をお願いしたいということであります。どうもありがとうございました。

(拍手)