釜ヶ崎講座ニュース  NO,3

2002.4.18 

   







■ 4月27日第3回講演の集いをおこないます。

 直前のお知らせにになりましたが、第3回釜ヶ崎講座講演の集いを、4月27日(土)に行います。
 皆様のご参加を、周りの方をお誘いしての参加をお願いいたします。
 今回は、今一度「釜ヶ崎」の意義を考えて見る学習の場としたいと考えています。今回は下記のような視点より、現在社会と釜ヶ崎をとらえ返していこうと思います。釜ヶ崎の基本的な学習テーマは「釜ヶ崎の歴史」・「釜ヶ崎の社会的意義」・「釜ヶ崎と差別」といった切り口を考えています。皆様からの講演や学習テーマについて、希望や提起があれば幸いです。
    
4月27日(土)午後6時開場 6時30分開会
エル・おおさか  709号室  資料代 500円
「釜ヶ崎へ、そして釜ヶ崎から」
現在社会の苦境を釜ゲ崎の現実からとらえ返す。
講師  島 和博氏(大阪市立大学文学部社会学、助教授)

 釜ヶ崎は日本の高度成長を支えた、建設・土木、港湾、そして製造業など産業の調整できる、使い捨てできる日雇い労働者の街としてありました。社会の調整弁、安全弁としての役割を負わされてきました。
 今、釜ヶ崎では、現金求人は日に2千名前後しかなく、約2万といわれる釜ヶ崎労働者の大多数がアブレ(失業)ざるをえなくなっています。失業し生活できなくなった労働者は野宿生活へ、あるいは施設や病院へ、そして行路死亡者として釜ヶ崎から「流出」しています。
 一方で、不況の中、倒産・リストラ等の更なる深刻化で、不安定就労者、下層労働者の増大、失業が進み、普段に釜ヶ崎へ「流入」しています。
 野宿生活者の増加、市内・府下への拡大は、釜ヶ崎がかっての調整、安全弁の役割を果さなくなっている事を示しているのでしょうか。現在社会の苦境は、ある意味では、社会の「釜ヶ崎的現実」の拡大・深化とも言うべきものではないでしょうか。
 この間、野宿生活者の聞き取り調査、大阪市民の「野宿者問題」へのアンケート調査等にあたられ、「野宿生活者」問題への提言等に係わってこられた島 和博氏(大阪市立大学文学部社会学助教授)を講師に迎え、「釜ヶ崎へ、そして釜ヶ崎からー現在社会の苦悩を釜ヶ崎の現実からとらえ返す」のテーマで、第3回講演の集いを行います。  皆さんで釜ヶ崎と社会との関連を考えていきませんか。




■ 2・16第二回釜ヶ崎講座「野宿者支援法の早期成立を」開かれる(70名参加)

さて、昨年10月に立ち上げ、12月8日「釜ケ崎は今‥‥」と題した講演の集いを60余名で成功させた私達「釜ケ崎講座」は、2月16日、第2回講演の集いを開きました。
 今回は、「野宿生活者自立支援法の早期成立を」をタイトルに、講師に連合大阪・中小労働運動センター所長・要宏輝氏を招いて取組みました。第1回の集いを上回る70名の参加者があり、「野宿生活者への特別立法」への関心の高まりを示すと共に、私達の「釜ケ崎講座」の取組みも市民権を得たのではとほっとしたのも正直な所でした。
 要さんは講演で、「何故連合大阪という組織労働者がホームレス問題に取組むのか。ホームレスの出身は労働者であり、我々のOBだ。大阪の失業率は全国で二番目で、6・9%に達している。連合でアンケートを取ったところ4人に3人が雇用に不安を訴えている。大阪ではこの3年間で52万人の雇用が失われた。東大阪市の人口、連合大阪の組織員が全てクビとなったに等しい数である。労働組合は、公正な社会をつくる事を目的とする。かつては適正配分問題だった。現在は社会的セーフティネット作り、排除のない社会づくりだ。ホームレス3万、失業者300万人は排除された状態だ。やり直しのできる社会、再参加のできる道をつくり出す取組みこそ労働組合に問われていると考えて取組んできた」と、連合大阪の取組みの視点を明確に説明しました。
 続いて、昨年6月提出された民主党案の立法趣旨と法案の骨子を説明した後、昨年12月の民主党と自民党社会労働委員会での合意という報道記事を機として与党のワーキングチームに戻された経過と、その後の新たな動向を説明しました。また大阪市から出された3項目の意見について厳しい批判を説明しました。
 この通常国会の中で連合大阪としても、「公的就労、雇用創出」こそが実効のある現実策であることを柱に、国に法律を、自治体に施策を求めて奮闘すると結ばれました。
 会場からは活発な意見、質問が出されました。生活保護は権利なので活用すべき、「自立」という言葉をめぐって違和感を感ずる、野宿生活者に失礼では、との意見も率直に出さました。これについてNPO釜ケ崎支援機構の山田理事長は、「今までの福祉での措置主義は、現実はあてがいとされ、一方で依存型となる面をもっていた。自立支援という表現の中には、当事者主義すなわち自分にあったものを、お互いの助け合いのあり方の中から作りあげていこうとしている事、とりわけ働くことを通した社会参加の一形態を通して、野宿生活からの脱却を目指せる質を含めている」と、当事者からの答えがありました。
 活発な質疑の中で、時間も足りなくなる程でした。国会運営が予算審議前に空転する状況の中で、「野宿生活者支援法」の制定をめぐっては、種々な困難が予測さます。今回の講座の取組みは、論議を交わしながら法案の早期成立を目指す動きを更に作り出す上で時期にかなうと共に、視点の整理をする機会を提供することが出来たのではないでしょうか。

 尚、法案の「民主党案」は当日資料で配布いたしましたが、法案の特徴、釜ヶ崎反失連の評価等につきましては、添付の反失連の「釜ヶ崎と連帯する皆さんへ」(報告その17)が詳しく述べておりますので参考にして下さい。




■ 与党三党の「ホームレス自立支援法案」原案まとまる

 去る4月11日、自民、公明、保守の与党三党による「ホームレス問題に関するワーキングチーム」が「ホームレス自立支援法案」の原案を正式に合意しました。与党三党は、この原案を元に党内手続きを行い、一方野党とも調整を行い、本通常国会中の制定を目指すことになるようです。
10日の朝日新聞に「強制排除に含みを残す表現となっている」との記事が出た。昨年も朝日新聞の記事が契機に自民・民主合意が与党に戻ったことがありました。今回の記事も原案を見るとやや主観的な記事の印象です。
 基本的な所では、国が責務としてホームレスに対する雇用の確保、安定した居住の場所の確保、保健・医療の確保、防止策の実施、応急援護の提供、生活保護適用、人権擁護等を行うことを骨子とする法案として与党案もあることは原案で明らかになりました。詳しくは原案と民主党案との比較をこの27日の「講演の集い」の際にも提供し、解説なり、見解を釜ケ崎反失連から述べてもらう予定です。問題の「強制排除」の危惧と言われている「適正化条項」と呼ばれている個所ですが、与党原案では法案の「目的」や「施策の目標」の個所ではなく、第3章「財政上の措置等」の中に入りました。ワーキングチームでの自民党原案では「施策の目標」の項に入っていましたから、それよりは前進しています。あくまで自立支援策の柱ではなく、施策との連携を明記したに過ぎないからです。しかしこれまでの自治体の対応などから「適正化」にあたっての留意点などが明記されていないことや、順序なども明記されていないことから誤解や今までの法案反対の論拠となる可能性をいまだ持っています。前回の講演の集いの要氏の講演でも、又「反失連」の見解の中でも触れられているように同法案に(自立法)「適正化条項」不必要です。当事者の必要、要求に即した施策が行われれば、自ずから公園等は「適正化」されるのであるから必要はない筈です。
 与党三党案はそれなりに特徴をもっており、かつ提案された民主党案とも十分に建設的に協議が可能な内容となっているとおもわれます。政党間の協議は一方で進められるとし、現場からの声を大きく突きつけていく必要があり昨年より毎月最終週に続けられてきた国会前の座り込み(3月で7次を数えています)に釜ケ崎からも毎回代表が派遣されてきました。
 来たる4月26日には、「ホームレス自立支援法」の今国会での制定を!国会請願行動の呼びかけが、東京の新宿、池袋野宿者連絡会と釜ケ崎反失連、NPO釜ケ崎支援機構等から発せられ、釜ケ崎からは組合のバス「勝利号」で馳せ参ずることになりました。
 第3回講演の集いは、その行動の翌日に開かれる強行スケジュールですが、法案の早期成立のため請願行動が大いに盛り上がる事を期待しているところです。




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 昨年の講座の立ち上げから会員になっていただいた方も増えました。まだ会員だけの企画までには至っていませんが、当面講演会の継続を中心とします。2回目の講演の集いよりニュースの発行が出来ず、3回目の直前になり申し訳ありません。釜ケ崎現地の動きもお伝えするニュースを目指します。今風にHPでお伝えできるように努力中です。
 次回講演の集いの会場でも加入申し込み受け付けます。カンパは下記に。会費は年1000円です。

 「郵便振替 00940−1−132778」








2・16第2回講演の集い 講師 要 宏輝氏(連合大阪)



「野宿生活者自立支援法の「早期成立を」 70名参加(エル・おおさか)