■ 「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」成立しました

 前述のように、去る7月31日第154回国会最終日、「野宿者支援法」(ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」が参議院厚生労働委員会で可決され、同日午後本会議に提案され、全会一致、反対ゼロで可決されました。昨年6月「民主党案」として衆議院に提出された同案は国会内で様々な変遷をたどりましたが、本年7月17日、与党3党(自民・公明・保守)と民主、社民5党共同草案として提出され、7月18日、厚生労働委員会、本会議にて全会派一致で可決されてきました。
 「法」では、自立支援や発生防止のための施策を「国や地方自治体の責務」と明記しており、目標として、雇用の確保や職業能力の開発、安定した居住場所と医療の確保、生活相談の実施などにより自立を支援することがあげられています。就業の機会が確保されることがもっとも重要であることが明記されたことはこの間、私達が要求してきた点が反映されたと評価できます。また、いわゆる「適正化条項」として「強制排除」につながると懸念されていたことについては、衆議院厚生労働委員会で「人権に関する国際約束の趣旨に充分に配慮すること」と決議文を採択し、この条項を強制排除に利用しないよう警告しました。
 法案成立が迫る中、この「排除」をめぐり様々な論議が行われました。これまでの「講座」の論議の中でも出ましたが、反「排除」の論陣が野宿の権利の要求となり現状に野宿を固定することになっている事、生活保護の拡充を持って足りるとする論陣が、この間の野宿労働者の10年に及ぶ反失業の闘いが「仕事」「労働」をめぐる領域にせまってきていることをを見失っている事を考えていかなければならないと改めて感じました。尚衆議院委員会で川田悦子議員(無所属)が反対の立場を取りました。反対の趣旨は議員のホームページに紹介されていますが、「講座」から、別の機会に紹介します。
 国に基本法を求める運動は失業、野宿問題への取組みの中から始まり、10年を要しました。法案提出後も、毎月国会前の行動が釜ケ崎反失連・NPO釜ケ崎支援機構を始め全国の野宿生活者・支援で取り組まれてきました。また、連合大阪・解放同盟府連・NPO釜ヶ崎支援機構の三者などの実行委員会による、昨年6月の国会・省への請願・交渉や6・21の700名の「早期成立を求める決起集会」などの広範な共同した闘いが成立をもたらしましたといえるでしょう。私達「釜ケ崎講座」の講演の集いの取り組みなどが、この中で少しでも力となれたか、今後の「講座」の持ち方を共に考えて生きたいと思います。
 法案が成立しましても、野宿しなくともすむ総合施策を国の責務として実施させ、地方自治体に実効ある具体策を実現させていくのは、これから更なる運動が必要ですし、法案を要求してきた運動に課せられているともいえます。前述のシンポジウムは第一歩ですが「講座」も更に企画を充実していきたいと思います。





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 前回の第3回の「講演の集い」の際、入会の方が数名いました。ありがとうございました。
 引き続き会員の募集中です。
 尚9・13シンポの際には現在作業中の、メール・ホームページを紹介できるかも知れません。ご期待を。









「釜ヶ崎へ、そして釜ヶ崎から」 講師 島 和博氏(大阪市大)


4・27第3回講演の集い 75名参加 (エル・おおさか)