ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法案の運用に関する件



 政府及び地方公共団体は、我が国においてホームレスの急増が、看過できない極めて大きな問題となっている現状を踏まえ、ホームレスを含め社会的に排除された人々の市民権を回復し、再び社会に参入することが出来るようにすることは、憲法第十一条及び第二十五条の精神を体現するために必要不可欠な施策であることに深く留意し、本法の施行に当たっては、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。


一、 ホームレスの自立の支援に際しては、自立に至る経路や自立のあり方について、可能な限り個々のホームレスに配慮した多様な形が認められるよう努めること。


二、 ホームレスに対する職業能力開発に当たっては、ホームレスの実情に応じた内容となることに深く留意するとともに、ホームレスの自立につながる安定就労の場の確保に努めること。


三、 ホームレスに対する住宅支援策の実施に当たっては、その実効性を高めるため、地域の実情を踏まえつつ、公営住宅・民間住宅を通じた可能な限り多様な施策の展開を図ること。


四、 ホームレスが入居する施設においては、入居者本人の人権尊重と尊厳の確保に万全を尽くすこと。


五、 第十一条の規定の通り、法令の規定に基づき、公共の用に供する施設の管理者が当該施設の適正な利用を確保するために必要な措置をとる場合においては、人権に関する国際約束の趣旨に充分に配慮すること。


六、 本法による自立支援策と生活保護法の運用との密接な連携に配慮し、不当に生活保護が不適用とされることのないよう、適切な運用に努めること。



七、 第十四条に規定する全国調査を早期に完了し、遅滞なく事業を実施すること。


 本法を施行する中で実情との不整合等が生じたとき等においては、速やかに見直すこと。


 「実施計画」を策定しない都道府県及び市町村の区域においても、ホームレスの自立支援及び余儀なくホームレスとなることの防止の諸施策の実施に可能な限り努めること。


右決議する。

7月17日 衆議院 厚生労働委員会