法話24

心に響くことばK」

SMAPの歌に「世界に一つだけの花」があります

『仏説阿弥陀経』に、

極楽浄土には七宝の池あり。(中略) 池の中の蓮華は、大きさ車輪のごとし。青色には青光、黄色には黄光、赤色には赤光、白色には白光ありて、微妙香潔なり。

と出てきます。お浄土の池にはさまざまな色の蓮の花が咲き、それぞれの色がその色の光を放ち輝いているといった意味です。

このお言葉は、私たちに「あなたは、あなたのままで輝いているか」と問いかけてきます。また、周囲の人を理解しようとするとき、「自分の勝手な思い込みの中で判断して、その人の輝きを邪魔していないか」とも問いかけてきます。すべての人は、それぞれにかけがえのない「いのち」を授かって生まれてきます。それなのに、若者とお年寄り、男性と女性、健康な人と病気がちの人、障がいのあるなし、肌の色の違いなど、「いのち」に優劣や序列を付けてはいないでしょうか。

そのような問題の一つに「部落差別」があります。生まれた場所の違いだけで序列がつけられ、自分は自分のままで輝きたいという誰しもが持つ思いまで踏みつけにされ、疎外された人びとがいるのです。私たちは、そのような優劣を付ける誤ちを否定し、ともに歩み、差別のない社会、つまり「御同朋の社会」を目指しています。

冒頭の歌詞を読むと、それぞれの花はお互いに序列をつけることなく、自分の色を誇らしく胸を張って咲いているのに、人同士は、お互いを比べ序列を付け、自分の優位を保とうとしながら生きていることに気付きます。

阿弥陀さまは、すべてのいのちを等しく尊い同じいのちと認め、「自分の色に輝いて、精いっぱい生きておくれ」と願っていてくださいます。その願いを「ご本願」といただきます。阿弥陀さまのご本願を聞き、ご本願を我が願いとして育ち輝いて生きていく。やがていのち終えるとき、阿弥陀さまのお浄土に迎え取られ、お浄土を荘厳する一輪の花となるのでしょう。そして一輪の花の輝きは、後に続く人たちを照らすともしびとなるのです。