法話18
「心に響くことば」
振り返ってみると、私たちは幼い頃から、頑張ることや努力することが大切だと教えられてきました。
時には、自分の主張を押し通したり、ライバルとの競争に打ち勝つことで、自分の思い通りの「居場所」を手に入れることが大切なのだと信じて、一生懸命に生きてこられたことでしょう。
また、自分の弱みを簡単に見せないように、周りから傷つけられないように、たくさんの鎧を身にまとい、ホンネを見せないようにして生きてきたのではないですか。
鎧を着込み、ホンネを隠して暮らしていく中で、知らず知らずのうちに不満とストレスを溜め込みながら、「つらいなあ、しんどいなあ」とも言えずに過ごしてきたのが、私のありようでした。
上手くいっている時は自分の手柄を誇り、上手くいかない時にはその原因を相手に押し付けて、「こんなはずではなかったのに。どうしてこうなってしまったのだろう」と、悩み苦しんでいるのが、私のありようたったのです。
自分で掴み取ろうとする「居場所」には、常に不満とストレスがつきまとい、本当の安心を得ることはできなかったのでした。
阿弥陀さまは、
「悲しみや苦しみを抱えたままのあなたを救う仏に、私が成る」との願いを成就され、南無阿弥陀仏の「名告りの仏」と成ってくださいました。
「あなたを決して一人ぼっちにはさせないよ。あなたの悲しみや苦しみを、そっくりそのまま引き受けるよ。良い時のあなたも、悪い時のあなたも、背を向けはねつけている時のあなたも、追いかけ寄り添い続けるよ。だから、どうか私にまかせてくれよ。南無阿陀仏とお念仏申してくれよ」
阿弥陀さまの大悲に願われている私には、着込んだ鎧を脱ぎ、ありのままの私をさらけ出すことのできる「本当の居場所」が、確かに与えられているのです。