法話2

「心に響く言葉@」

中国の高僧、善導大師は、阿弥陀さまの大いなるお慈悲のありようについて、「陸の上の人よりも、水の中で溺れている人を、急いでお救いくださる」という、「救急の大悲」をお示しくださいました。
「苦しんでいるいのちを、なんとかして救いたい」という、救急医療のありようを通して、阿弥陀さまのお心の一端を思います。
「いつでも」二十四時間三百六十五日休むことなく、苦しむいのちを救いたい、という願いが、救急医療に込められています。
「どこでも」どのような場所であっても、病気やケガで大変な目に遭っている人を救いたい、という願いが、救急医療に込められています。
「だれでも」治療を受ける患者さんに一切の区別・選別・差別をせず、あらゆる人を救いたい、という願いが、救急医療には込められてます。
それはなぜなのか。救急医療の現場においては、最も大きなケガや病気を負った患者が、真っ先に治療を受けるべき「おめあて」である、ということなのです。
南無阿弥陀仏のお念仏に込められた阿弥陀さまのお慈悲とは、まさに「救急の大悲」でありました。
「いつであっても、どこであっても、あらゆるいのちを救う仏に、私が成る」との願いが完成され、南無阿弥陀仏のお念仏と成って、私が称えるまま、聞こえるまま、私の中に入り満ちてくだきっています。
そのお心をよくよく味わっていきますと、「今、ここで、この私が一番のめあて」と願われていました。最も大きな苦悩を抱え、最も救われ難いいのちであるこの私こそが、阿弥陀さまのお慈悲のど真ん中に包まれていたのです。