法話6

「心に響くことば」

人間という生き物は、一人になりたい時があるが、独りにはなりたくないという、なんとも矛盾した欲望がある。
お釈迦さまは、「人、世間愛欲のなかにありて、独り生れ独り死し、独り去り独り来る」(『侮藍蛍難露『註釈版聖典』五六頁)と示される。また、「これを当くるに、代るものあることなし」()と続く。
人は自分にしかわからない苦しみを、自分で引き受けながら生きているものだ。多くの優しい人に囲まれているのに寂しさを感じたり、共感してもらえているようでも本当の意味では理解してもらえない。自分にしかわからない苦しみや、悲しみがあるものだ。
対面した時は笑顔の人が陰口をたたいたり、言葉ではそれらしいことを言いながらも自分の利益しか考えてなかったり。でも、そんな時に阿弥陀さまだけは、心の奥底の悲しみを包み込み「おまえは独りでない」と一緒に泣いてくれる。独りではないのだ。二人いるから、一人となれるのだ。
親鸞聖人の
「一人居て喜ばは二人とおもうべし、二人居て喜ばは三人と思うべし、その一人は親鸞なり」
というお言葉を味わい、阿弥陀さまだけでなく親鸞聖人も、この私の人生を独りにはさせないとご一緒してくださることを心強く思う。