2人で就寝

『2人で就寝』



風呂あがり。
俺と雪はすっかりのぼせていた。

「ちょっとゆっくりし過ぎていたな」

「そ、そうだねぇ〜」

雪は体も顔も真っ赤にして言う。

「ふぅ、涼しい」

「涼しいぃ〜〜」

2人して脱衣所でしばし休憩。

「さーて、体でも拭いて出るとするか」

「うん」

俺は雪にタオルを渡す。

ごしごしごし
2人とも体を拭く――なんとなく楽しい。

「俺は終わった。雪は?」

「髪がまだ…」

「よし、俺が拭いてやろう」

ごしごし
俺は雪の頭をタオルで少し強めに拭く。

「あややややややや」

「……っと、終わったぞ」

「ら、乱暴だよ〜」

雪の髪はボサボサになっていた。

「クシでといてやるから安心しろ」

サッサッと雪の髪を綺麗に整える。

「これでOK」

雪の髪が綺麗になった。
うんうん、雪の髪はこうじゃなくっちゃな。

「雪は髪を伸ばさないのか?」

「え? うん」

伸ばした雪も見てみたいな。

――いい、絶対似合うっ!

今の肩より少し長めの髪も捨てがたいが・・・
伸ばしてもイケてると俺は断言する。

「伸ばした方がいい?」

「うーん、似合うとは思うけどな」

「そう? じゃぁ、伸ばして見ようかな?」

「い、いや……雪の好きにしたらいいよ」

当の本人が嫌がったら意味がないしな・・・

「ちょっと……邪魔かな?」

「そうか。まぁ、俺は今の髪型も好きだからいいけど」

「それより着替えようよ?」

「ああ、そうだな」

俺はまず自分の服を素早く着る。
左足が無くても問題はなくなった。
ようは慣れだな、慣れたらこれでも着替えくらいは素早くできる。

「雪、下着をつけるぞ?」

「うん」

俺は下着を履かせてブラをつける。

「ねぇ、浩ちゃん」

「なんだ?」

「えっとね、ブラはいらないよ」

「そうか?」

俺は一度つけたブラを外す。
なんだがエロチックだな・・・

「後は寝るだけでしょ?」

「まぁ、そうだな」

「私、寝るときはつけないから」

つーことはノーブラっすか?
俺の中で少しオヤジが入ったようだ。

そんなことより雪に服を着せないと・・・

「俺のシャツでいいか?」

「うんっ」

俺は返事を聞くとシャツを着せる。

「わぁ〜、大きい〜」

雪には幅も丈も大きすぎたようだ。
服がズレて肩が少し出ている――それに丈が長いから微妙に下着が隠れているのがニクイ!

「これだけでいい?」

「え? このシャツだけか?」

「うん」

雪はシャツの袖をキュッと掴んで口元に持っていく。
そしてその姿勢で尋ねてくる。

「あ、ああ。ゆ、雪の好きにしたらいい」

俺はその姿に戸惑いながらも答える。

「どうしたの?」

「いや、なんでもない」

「??」

くぅー、卑怯なくらい可愛い!
可愛いという次元を超えているっ。

「浩ちゃん」

「あ!? なんだ?」

「真奈ちゃんが待っているんじゃないの?」

「そうだったな」

遅くに出たら真奈が怒るだろうな。
もう、怒っているかもしれないが・・・

「でるか?」

「うん」

俺は雪を連れて脱衣所をでる。

「真奈っ、あがったぞ」

「遅いよっ」

そこには真奈の姿があった。
その手には風呂に入るための物がしっかりと握られている。

「ああ、すまない」

「あれほど何もしないでって言ったのに…」

「いや、そのだな。別になんかしていたわけではないぞ?」

俺は適当に誤魔化す。

「ふぅ、過ぎたことだからいいけど」

「………」

だったら言わないでくれ。

「それと雪音さんで遊ぶのはやめてよね?」

「ん? なんのことだ?」

「雪音さんの格好。趣味丸出しじゃない」

「違うよ、真奈ちゃん。これは私が選んだんだよ?」

雪が会話に割り込んでくる。

「そうなんだ……よかったね、おにーちゃん」

「な、なにを言ってるんだよっ」

「そんなに照れてちゃバレバレだよ」

「…う」

さすがは妹だ。
騙すことはできないようだ。

「んじゃ、私は入るから」

「おう」

「その隙に雪音さんを襲っちゃダメだよ?」

「襲うかっ!」

ガラガラ――バタンッ
真奈はそれだけ言うと脱衣所に入っていった。

「ったく」

「…浩ちゃん」

雪がグイグイと俺の服を引っ張る。

「ん?」

「襲っちゃイヤだよ」

「ゆ、雪まで言わないでくれ」

雪には言われたくなかった。
冗談抜きで・・・

「あはは、冗談だよっ」

「からかわないでくれ…」

「ごめんね」

雪は小さな舌をペロッと出して謝る。
その姿はとても可愛らしくなんでも許したくなってしまう。

「雪だから特別に許してやる」

「ありがとう」

「それより、今からどうする?」

「えとね、疲れたから寝たいな〜」

雪は眠そうに欠伸をする。

「そうか。少し早いが寝るとするか」

「うんっ」

コツコツ
俺は雪を連れて自分の部屋に行く。

ガチャ――バタン
雪と一緒に部屋に入る。

「すぐ寝るか?」

「うん……ダメかな?」

「いや、別にいいよ」

俺はまず雪を毛布の中に入れる。

「ちょっと冷たいね」

先に中に入った雪が言う。
今まで人がいなかったから温もっていないんだろう。

「最初だけだ」

そして俺も毛布の中に入る。

「…ゆき」

俺は雪の頭の下に手を通して肩まで持っていく。

「浩ちゃん?」

「………」

「腕枕……嬉しいよ」

雪は俺の胸に顔を寄せてくる。
そんな姿に愛しさを感じ、雪の髪を優しくすくう。

「気持ちいい」

「……ゆき」

ちゅっ
俺は雪のおでこにキスをする。

「おやすみ」

「うん、おやすみ」

雪は俺の胸に寄り添ったまま眠りにつく。

「………」

俺はそんな雪をもっと引き寄せる。
離さないように――優しく強く。

「………」

「…すぅ………すぅ……」

「ふふ、寝ちゃったか」

俺の胸で小さくなっている雪から寝息が聞こえる。

「すぅ……すぅ……」

「俺も寝るとするか…」

雪が眠ったので俺も眠ることにした。
明日、また雪と頑張れるようにぐっすりと寝る。
雪を支えられるようにしっかりと。

雪の規則正しい寝息を子守歌にしながら・・・




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