母のように(後)

『母のように(後)』



「ねぇ、浩ちゃん」

「………うん?」

俺が落ち着いたのを感じ、雪が声をかけてきた。
俺はその問いかけに顔を上げず、声だけで返事をする。

「苦労……したんだね」

「………」

「私が浩ちゃんや真奈ちゃんにとって大きな存在なんて知らなかったよ」

「……え?」

なぜ雪がそのことを知っているんだ?
俺は一言も口にしてないはずだが・・・

「どうして知っているんだ?」

「寝言で言っていたよ。それに私をお母さんだと思って…」

「………」

それって・・・まさか!
俺が夢だと思っていたことは現実?
夢の中でしたことは現実だったのか?

「…ゆき」

「なぁに?」

「俺……夢の中で母さんの乳を吸っていたんだ」

「………」

「ひょっとして、もしかしなくても…」

よくよく考えれば気づくこと。
俺は雪の胸に抱かれてる。
寝る前に着ていたシャツを着ていない雪に抱かれているのだ。
いや、着てないというより“めくれあがっている”と言った方が正しい。

「……ごめん」

「ふふ、別にいいよ。浩ちゃんったら赤ちゃんみたいで可愛かったから」

「ばっ、何を言って…」

「寂しかったんだよね、悲しかったんだよね」

雪がギュッと俺の頭を胸に抱きしめる。
少し苦しいが、とても落ち着く。
まるで母さんに抱かれているように温かい。

「私でよければ、ずっと側にいるからね」

「……ゆき」

「好きなだけ甘えていいからね」

「ばかっ、俺は大人だぞ?」

バカは俺だ。
さっきだって、雪の胸で泣いていたじゃないか。
他の誰でもない――俺が。

「大人でも寂しいときはあるんだよ?」

「………」

「私なんか浩ちゃんがいないとずっと寂しいよ?」

「俺だって雪がいないと寂しい」

「あはは、同じだね」

雪は強いな。
昔からそうだった。
誰よりも元気で、誰よりも頑張り屋だった。
そんな雪が羨ましかった。
そんな雪がとても魅力的だった。
そしてそんな雪に惹かれていった。

だから好きになった。

「私……知らなかった。浩ちゃんが小さい頃から私のことが好きだったなんてね」

「自分でも忘れてた」

俺自身が忘れていた気持ち。
自分で閉ざしてしまった心。
俺は雪が好きだったんだ。
ずっとずっと前から好きだったんだ。
その気持ちを隠していたんだ。

「私ね、浩ちゃんを好きになってよかったよ♪」

「こ、こらっ」

雪は自分の胸に俺の頭をグイグイ押しつける。
気持ちいいが、少し息苦しい・・・

「大事な大事な私の浩ちゃん、絶対寂しい思いはさせないからね」

「ゆき……ありがとう」

雪が側にいてくれるなら寂しくないさ。
どんなになっても頑張れる。
雪が側にいてくれるなら。

「ゆき」

「ん?」

「これはお礼だよ」

俺は顔を左にずらすと、胸の真ん中にある突起を口に含む。

「あんっ……こ……浩ちゃん」

雪の可愛い声を聞きながら行為を続ける。
突起をついばむように吸い上げ、舌で弾くように舐めあげる。

「そ…そんなにしちゃ……だめ……あふ」

「もっと声を聞かせて」

突起を痛くしないように噛む。
するとそのたびに雪が可愛い声で鳴く。
調子をよくした俺は右胸に手を持っていき、優しく揉みほぐす。

「きゃう……か…感じ過ぎちゃう……よ…」

左胸を舌で転がすように突起をコロコロと転がす。
そして右胸は下から持ち上げるように揉み、親指と人差し指で突起をクリクリ擦る。

「だめ……だめだよ…浩ちゃん……だめ」

雪はだめだめ言いながら俺の頭をギュッと抱きしめ、小さな体をぷるぷる震わせながら悶える。
その姿がとても可愛くて、ついつい苛めたくなってしまう。

「何がだめなんだい?」

「そ…それは……あんっ……や…」

俺は雪に答える時間を与えないように責め続ける。

「きゃう……が…我慢できなく…なるよ……」

そう言って雪は足の付け根をモジモジと動かす。
俺はそんな雪の大事な部分に手を伸ばし、軽く触れる。
そこは下着の上からでもわかるくらい湿っていた。

「濡れているよ」

「やん……そんなこと言わないで…」

雪の下着の中に手を滑り込ませ、割れ目をゆっくり撫でる。
スリスリと撫で続けると膣からねっとりと密が零れてきて俺の指に絡みつく。
俺はその指を雪の目の前に持っていき、ネチャネチャと指を動かして音を聞かせる。

「ゆき、もうこんなに濡れているよ」

「あふ……浩ちゃんのえっち」

雪は俺の手を手探りで取ると指をペロペロと舐めあげる。
そして指を包むように口に含み、舌を絡みつかせてくる。
その姿は欲情を駆り立てるくらい艶めかしい。

「もういいよ」

「んふ……ん」

俺は雪の口から指を抜くと、再び下に持っていく。
雪の下着を下にずらし、触れやすくしてから触る。
雪が濡れているのを確認すると中指を膣にゆっくりと沈める。

ちゅぷ
小さな音を立てて雪の膣に指が入っていく。

「あう……だめ…浩ちゃん……んふ……やだ」

雪の哀願を無視して中を進んでいくと指が全部埋まった。
膣に包まれた指を少し動かすとクチュクチュと水っぽい音が響く。
俺は雪の膣をかきまぜるように指を動かし続ける。
すると雪から艶っぽい声が漏れてきた。

「あふ……んん…あ……こ……こう……ちゃん」

「気持ちいいか?」

「う……うん……だめ…そんなにしちゃ…やだよ」

雪の期待に応えるため、指で膣を激しくかきまわす。
雪から零れた密が俺の手までベットリ流れる。
俺はそんなことはお構いなしに雪を絶頂に導くために指を動かし続けた。

「浩ちゃん……浩ちゃん……」

雪が俺の頭を痛いくらいに抱きしめる。
限界が近いのだろうか、雪が俺の指をキュッキュッと締めつけてくる。

「ゆき、いっていいよ」

「あふ……んん……ん……だめ」

俺を強く抱きしめる雪の手をどかし、体を少し上にする。
そして雪と同じ目線にもっていく。

「こ……浩ちゃん?……んふ」

雪の膣に入れた指を動かしたまま、顔を寄せる。
俺は雪にわかるように頬をピッタリとくっつけた。

「こ…こう……ちゃん……ああん…」

絶頂を迎えるように雪のからだがビクビクと震えだした。
そんな雪に俺は囁く。

「ゆき」

「う…ん?……もう……だめだよ……あ…や」

「愛している」

それを言ったとたん雪の膣が痛いくらい俺の指を締めつけた。

「だ、だめぇぇぇぇ〜」

雪は小さな体を大きくのけ反らせたあと、グッタリとして胸を上下に動かす。

「はぁ……はぁ……んふぅ」

「可愛かったよ」

雪の頬にチュッとキスをして、膣から指を引き抜く。
するとちゅぽっと音がして膣からとろとろと密が流れだした。

「あん……や、やだ」

「恥ずかしがることはないよ」

俺は雪の耳たぶを優しく噛む。
歯を立てないようにかぷかぷと何度も噛み続ける。

「んんん……き…気持ちいい…」

「んむ」

耳たぶを唇で挟んで、先っぽを舌でチロチロ舐める。

「あう……きゅう……ん」

「ん…ん…」

「きゃふっ……浩ちゃん…や…やめ……て」

「んん……わかった」

「はふぅ……ふぅ……」

俺は渋々雪から離れる。
あんまりしつこくして雪に嫌われたくない。

「浩ちゃん……ごめんね」

「ん? なにが?」

「ベッド……汚しちゃった」

ベッドを汚したというのは雪から零れた密のことを言っているのだろう。
そんなことを気にするなんて雪らしい。

「いいよ、雪のだから嫌じゃない」

「……ぽ」

雪の顔が一瞬で赤く染まる。
いつまでも初々しい雪がとても可愛く見える。

「それに雪に汚いところなんてないよ」

「や、やだやだやだやだ! 恥ずかしいよぉ〜」

雪は恥ずかしいのか俺の胸をポコポコ叩く。
その仕草はとても子供で可愛らしい。

「ゆきは誰よりも可愛いよ」

俺は雪をギュッと抱きしめて言った。

「そ、そんなことないよぉ」

「いーや、そんなことあるっ」

「からかっちゃやだよ」

「ふぅ、俺達は恋人同士だろう?」

それに夫婦も同然なんだ。
いつまでも恥ずかしがっているのはおかしい気がする。
まぁ、だけどそれが雪の魅力的のひとつなんだけど。

「で、でも…」

「それにエッチだって何回もしただろう?」

「そ、それでも恥ずかしいよぉ」

雪の恥ずかしがり屋は度が過ぎている。
でも、それならいつまでも雪の初々しい姿が見れるわけでもある。
それはそれでいいかもしれない。
だけど、自分からするときは大胆なのに、俺からすると恥ずかしがるなんて少し変だ。

「ゆきは可愛いな」

俺はチュッチュッと雪の肩にキスマークを付けていく。

「あんっ……跡が残っちゃうよ」

「それでもいい、ゆきは俺のものだから」

「う、嬉しい……でも…外に出れなくなっちゃう」

「スカーフでも巻いたらいいよ」

俺はそう言って雪の小さな肩に何度もキスをする。
雪がとても愛しくて。
雪がとても可愛くて。
雪を慈しむように抱きしめながらキスの雨を降らす。

「あふ……優しいね」

「ゆきが好きだから」

「んふ、私も好きだよ」

雪が俺の背中に手をまわしてキュッと抱きしめる。
雪の温もりが伝わってくる。
雪の心臓の音がトクットクッと俺の体に伝わってくる。
雪の存在を感じる。
雪は俺の側にいてくれるんだ。

「ゆきの鼓動……感じる」

「うん、私も浩ちゃんの鼓動を感じるよ」

雪。
俺の大事な雪。
誰よりも大切な存在。

「浩ちゃんのお母さんの代わりになれないかな?」

「え?」

「私が代わりになれないかなって…」

「それは…」

それは無理だ。
雪は雪であって母さんじゃない。

「無理だよ」

「そう…だね、やっぱり無理だよね」

「でもな…」

母さんになれなくてもいいんじゃないか?
雪には雪しかなれないものがある。
それは今の俺にとっては母さんより大切な存在。
一番離れたくない存在。

「俺の中で一番大切な存在。それじゃダメか?」

「ううんっ、そんなことないよ」

「あとな、雪は大切な家族なんだ」

そう、俺達兄妹にとって雪は家族も同然。
両親より近い存在。
いつも一緒にいた友達。

誰よりも励ましてくれて、誰よりも助けてくれた家族。




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