買い物に行くにゃ
昼前
「ニィナ」
「はい。ご主人さま」
主人は掃除をしているニィナに尋ねた。
「今日は買い物に行くのか?」
「う〜〜んと・・・。行くにゃ」
「そうか。では今日は私もついてくとしよう」
「そんなのわるいにゃ」
「いいから、いいから」
「で、でも・・・」
ニィナは困った顔をする。
「私がついていくと、迷惑かな?」
「そんなことないにゃ!ニィナは嬉しいにゃ」
ニィナは自分で気づかないうちに大きな声を出していた。
「あっ・・・」
ニィナはそれに気づいて顔を赤くしてうつむく。
「ははは。では私がついていってもいいようだな」
主人はそういって、出掛ける準備をした。
1時間後
主人とニィナは街についた。
「今日の夕飯は何?」
主人が尋ねる。
「とくにきめてないにゃ。ご主人さまは何がいいにゃ?」
「ん?私か・・・私は」
主人はしばらく考えて・・・
「ニィナが作るものだったら何でもいい」
と、答えた。
「えっ?・・・なんでも・・・にゃ?」
主人の言葉にニィナは顔をポッと赤くする。
「ああ」
「わ、私は・・・その・・・」
そんなやりとりをしながら歩いていると・・・
「ようっ!そこのお2人さん。魚なんてどうだい?」
魚屋の店員が声をかけてきた。
「魚かぁ・・・」
主人が魚屋の前に立ち止まったので、ニィナも慌てて立ち止まった。
「イキがいいのが入ってるぜ。ダンナ」
そう言いながら店員が主人に魚を見せる。
「う〜ん。確かに美味そうだ」
「うにゃ。確かにこの魚は鮮度は抜群だにゃ」
ニィナがそう言うと・・・
「あんた、よくわかってるじゃないか!」
店員の目は生き生きとしている。
「わかる人にはわかるんだねぇ・・・」
店員は1人で「うんうん」と頷いている。
「んにゃ。その魚1匹くださいにゃ」
「へいっ!まいどあり〜」
そして店員が魚を包んでいる時にこんな事を言った・・・
「こんないい奥さんがいてうらやましいねぇ。ダンナ」
「えっ?・・・あの・・その」
店員の言葉でニィナはあたふたしだした。
そのとき主人が言った。
「ああ。私にはもったいないくらいだ」
「ご、ご主人さま?」
ニィナが主人に尋ねるが、主人は何も答えなかった。
「はい。どうぞ」
「どうも」
店員が差し出した魚を主人が受け取った。
「ありがとございやしたーー!!」
主人はスタスタと歩き出した。
「あっ、ご主人さま〜」
ニィナも主人の後についていった。
買い物の帰り
「あの・・・ご主人さま」
「ん?なんだ」
ニィナはあの事を聞こうとしたが・・・
「んにゃ。なんでもないにゃ」
「そうか」
聞くのを止めた。
聞かなくてもニィナは主人の気持ちがわかるから・・・
ニィナにはあの一言が主人の優しさとわかるから・・・
だから聞かない。聞かなくてもわかるから・・・
☆おわり☆
戻る