お洗濯するにゃ
また晴れているが涼しい日の昼
てくてくてくてく
ニィナが洗濯物を抱えて歩いている。
「ん?またこんな日に洗濯か?」
主人が尋ねる。
「そうにゃ」
「今日はいいよ」
「えっ?でも・・・」
ニィナは困った顔をする。
「今度でいいから」
「今日は大丈夫にゃ。気合でいくにゃ」
そういって、ガッツポーズをとる。
「ふぅ・・・」
主人は一つため息をつき・・・
「わかった。私も手伝おう」
「で、でも・・・」
「ニィナだけにつらい思いはさせたくないからな」
「ご主人さまぁ〜・・・」
ニィナの顔は嬉しさでいっぱいになっている。
「さ、さあ・・・。いこうか」
さすがの主人も照れたのか、そっぽを向きながら外へ出た。
洗濯場
ザッザッザッザ
2人は洗濯場についた。
「しかし、今日も一段と涼しいなぁ・・・」
主人が呟く。
「そ、そうだにゃぁ・・・」
ニィナの声はすでに震えている。
それを見た主人は・・・
「ニィナ」
ばさっ
自分が着ていたコートをニィナに羽織らした。
「だめだにゃ。ご主人さま」
「いいからいいから」
「ご主人さまは寒くにゃいの?」
ニィナが心配そうに尋ねる。
「私は大丈夫だから」
「でもぉ〜・・・」
「主人の言う事は聞く事」
主人がめずらしくそんな事を言う。
「わかったにゃぁ・・」
ニィナはしぶしぶ承諾したが、その顔はどこか嬉しそうだった。
「では、洗濯を始めるか」
「んにゃっ!」
2人で洗濯を始めた。
洗濯を始めて20分後
ごしごしごしごし
「ふぅ。おわった」
「おわったにゃぁ・・・」
2人でしたせいか、いつもより早く終わった。
「冷えてきたな」
主人がポツリと呟く。
「ご主人さま。寒くないにゃ?」
「だ、大丈夫だ」
主人は迷惑はかけまいと自分の手を後ろに隠したが・・・
「ご主人さま!」
ニィナにバレてしまった。
「あっ・・・」
ニィナは主人の手を取った。
その手は白くなって震えていた。
「こんなになって・・・」
「ニィナの事を考えるとこれぐらい大丈夫だ」
「えっ?」
「ニィナにこんな事をさせていると思うと、その方がつらい」
「ご主人さまぁ・・」
ニィナは主人の手に、ハァーハァーと息をかけた。
「前に・・」
「えっ?」
「前に、ご主人さまはニィナの手にこういう風に息をかけてくれました」
「そう・・だったな」
ニィナは小さな手で主人の手をぎゅっとにぎる。
「ニィナ・・・」
しばらくして、主人がポツリと言った・・・
「私は・・・」
「にゃっ?」
主人は一息ついて
「私は気温が低いからといって、寒いとは感じない」
「??」
「私が寒さを感じるのは・・・」
「感じるのは・・・?」
主人は続きを言わない。
「・・・いや、なんでもない」
「んにゃ???」
ニィナは続きが気になったが、聞き返す事はしなかった。
「さぁ、家に戻ろうか?」
「うにゃっ」
2人は館に戻っていった。
主人が途中で止めた言葉。それは・・・
私が寒さを感じるのは・・・
それはニィナが私の前から、いなくなる事。ただ・・それだけ・・・
☆おわり☆
戻る