いつもの日常(ニィナ)
☆ いつもの日常(ニィナ) ☆




私は目を覚める。
うにゃ?ここは・・・?
自分の部屋ではない事に気づく。
ここはご主人さまの部屋だったにゃ。
そして時計を見る。
にゃ?もうこんな時間にゃ。
あたりを見回すがご主人さまの姿はない。

またやってしまったにゃ。
そう思いながら1階に下りる。

台所に行くとご主人さまがいた。
遅れてきた私に怒りもせず、挨拶をしてくれる。
私はいつものように頭を下げて謝る。
ご主人さまはそんな私を許してくれる。いつも・・・
私は嬉しさのあまりご主人さまに抱き着く。
ご主人さまも私を受け止めてくれる。

ああ、これがご主人さまの優しさなんだ。
私はふとそんな事を思う。
私だけに向けられている優しさではない。
ご主人さまが他人に対して優しいんだと、私は思う。



昼食ができたのでご主人さまを呼びに行く。

部屋に行くとご主人さまは本を読んでいた。
私はいつも思う。
いったい何の本を読んでいるのだろう?
でも、それは聞かない。

私は台所に戻る。
数分後、ご主人さまが2階から下りてくる。

2人での昼食が始まる。

昼食のとき、ご主人さまはいつも言う。
「ニィナの料理は美味しい」
私はその言葉にいつも照れてしまう。
そんな私をご主人さまは暖かい目で見ている。

昼食が終わるとご主人さまは自分の部屋に戻る。
私は片づけが終わると、次は掃除を始める。

庭に出る。
いつ見ても広い。
私1人ではどう考えても掃除はできない。
でも、私は掃除を始める。

1時間経過したとき、私は疲れたので庭にペタンと座る。
そうしていると暖かい風が吹いてくる。
こんな日は気持ちよくて眠くなってくる。
寝てはいけないと思いつつも、ウトウトしてくる。
そして睡魔に負けてしまう。

数時間後、目が覚めるとご主人さまが隣りで寝ている。
私はすぐには起こさず、ご主人さまの顔をただ眺めている。

しばらくしてご主人さまを起こす。
そして2人で館に戻る。
途中、ご主人さまは私の肩をそっと寄せる。
私はなにも言わない。ただ身を預ける。

ご主人さまが肩を寄せる相手がずっと私ならいいのに・・・



私は今、ご主人さまの部屋の前にいる。
そしてドアをノックする。
中から返事がくる。
私は部屋の中に入った。

ご主人さまが「どうした?」と尋ねる。
私は一緒に寝てもいいかと聞く。
ご主人さまはいつものように「いいよ」と答える。

私はご主人さまの布団の中に潜り込む。
そしてご主人さまの体にペッタリとくっつく。
するとご主人さまはいつもそっぽを向く。
このとき私は気を悪くしたのかと思う。
私が尋ねるとご主人さまは無言で私を抱きしめる。
私は驚きのあまりご主人さまの顔を見ようとすると、
ご主人さまは私の頭をそっと自分の胸に抱き寄せる。

私はなにも言わない。
この人は寂しいのだと思う。
両親は他界して兄弟もなく、今は一人ぼっちである。
そんな中で私がいる。
ご主人さまは私に温もりを求めているのかもしれない。
だったら、私はご主人さまの期待にこたえようと思う。

たとえ私を1人の「メイド」としか見てなくても・・・


でも・・・
願わくば・・・2人だけのときがずっと続きますように


☆おわり☆

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