8月14日 富良野市〜豊頃町

 今日もいい天気、ボチボチ飯を食い、実にぽかぽかとして気持ちの良い出発。山裾まで一面に広がる畑の中の一本道をこの雰囲気をかみしめるように、ゆっくり歩くようなスピードで行く。夏の富良野は北海道の明るいイメージそのもの。 やがて両側から山が迫ると再び山岳区間に突入となる。

 今日は北海道の背骨、日高山脈を一気に越す予定だ。やがて、周囲に何も無くなると、眼前には山脈が連なり、ひたすら樹海の中を突き進む。くねった道を徐々に標高を上げる。コレダもここぞとばかりにかなりの粘りを見せてくれる。やがて周囲も明るくなると、そこは、北海道を東西に、真っ二つに分ける、狩勝峠だ。眼下には広大な十勝平野が広がる。峠を吹き抜けるさわやかな風に吹かれながら、アイスでしばしの休憩。

 十勝側は一転して急坂、ブレーキをかけながら、ゆるゆると下っていくことになる。一面が畑の十勝平野はまるでパッチワークのよう。やがて山を下りきり、新得からはまた平坦路が続く。

 途中、十勝清水の茶屋の前で、荷物満載のカブ視界の片隅に映る。もしやと思い、引き返し、茶屋の中のライダーらしき人に声をかけると、やはり彼も原チャリダ―だった。今回の旅で初めて会う原チャリ野郎に少し感動。しばしとうきびをかじりながら、原付ならではトークに花が咲く。近くの温泉に向かうという彼と別れ、左手に十勝川を感じながらさらに東へ、十勝平野を突き進み、やがてコレダは帯広へ。

 ここ帯広は豚丼とかが有名だが、今回は帯広から程近い十勝川温泉「かんぽの湯十勝川」に日帰り入浴することに。ここの温泉はモール湯といって世界に三ヵ所、もちろん日本ではここだけという、かなりレアな温泉。お湯はなにやら茶色っぽいが、いやな臭みもなく、非常に滑らかな手触り。

 さっぱりしたところで、今度は十勝川を太平洋に向けて下る。すると急に風が冷たくなり始め、なにやら真っ黒な雲が太平洋から向かってくる。そしてあっという間に十勝平野全域が低い雲に覆われ周囲は真っ暗に。あまりの寒さにカッパを着込み、今日はとりあえず、すぐ近くの豊頃町「茂岩山自然公園キャンプ場」に飛び入り。寒くてこれ以上の走行はムリだ。このキャンプ場、十勝川を見下ろす小高い山の上にあり、吹きさらし状態で寒さも倍増。くしゃみも連発。

 かじかむ手で、なんとかテントを張り終え、早速隣のライダーに声をかけ、鍋を囲んでの夕食。彼らは東京からきてるらしく、明日には北海道を発つそうで、残り物全部の野菜、山菜、そして毛がに、鮭丸ごと入りのなんとも豪華なやみ鍋。ツイてる。これがまたうまい。メチャメチャ暖まる〜。やがて他のライダー達も匂いを嗅ぎつけたのか、集まってきて夜遅くまで話は続く。

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Y.K