8月20日 千歳市〜熊石町

 今日は千歳を出発。朝、「また関西のどっかで合うやろ」と冗談を言いながらみんなと記念撮影。今年も世話になったおばちゃんも見送りに出てきてくれた。「んじゃまた来年」と大手を振って出発。この見慣れた千歳の町もしばらく見納めだ。

 さて朝のラッシュで込み合う国道36号を北上、札幌方面へ。真新しい札幌ドームを見ながら札幌市内をパス、今度は国道230号で、西へ進路を取る。ここからはしばらく山の中を走ることになる。豊平川に沿って徐々に標高を上げていくと、やがて札幌の奥座敷、定山渓温泉街へ。ここも関西の有馬のように、もはや往時の活気はなく、ひなびた感じ、郷愁を誘う。そして国道はさらに高度を上げ、さらに人里はなれた山奥へ進む。やがて中山峠という峠を越えると、視界には勇壮な「蝦夷富士」こと羊蹄山が飛び込む。峠を下りきり喜茂別からは国道276号で羊蹄山の北側をぐるっと周って、倶知安へ。長万部で入隊した「倶知安旭ヶ丘オらオら隊」のホームグラウンドだ。とりあえずHOMAC(北海道でメジャーなホームセンター)でエンジンオイルを補給。

 そしてここからは国道5号、羊蹄山を間近に見ながらのんびりと行く。やがて去年「自走して帰るか、船で帰るか」の一大決心を下した、思い出の「道の駅ニセコ」で休憩。最近、腸の調子が思わしくないということで、地元の「のむヨーグルト」で決める。あと、家から持参した米が、とうとう底をついたので、経済的な蛋白源で右に出るものはない、とうきびを一本五十円で数本購入。これでしばらく主食には困らないだろう。

 たっぷり休憩を取った後、去年のリベンジと言わんばかりに気合を入れて出発。今年は問答無用の自走なのだ。黒松内からは再び国道を離れ、細い町道で一気に日本海へ抜ける。なだらかな牧草地をこえ向こうには青い海が見える。牧歌的風景。

 島牧からは、今度は「雷電国道」こと国道229号、というなんとも勇ましい名前の国道。ここからは今度は日本海沿いに函館を目指すのだ。また海にお世話になる。ここから熊石あたりにかけてはいかにも伝説のありそうな奇岩岩礁帯が続き、見ていても飽きない。しかしこのあたりはライダーが極端に少なくかなりさびしい限り。今日はいけるとこまで南下することにする。

 瀬棚、北檜山を過ぎ、右手には夕焼けに奥尻島のシルエットが浮かぶ。今日の走行は終了。そろそろ寝床を捜さねばということで、まずはツーリングマップルであたりをつけて「大成町野営場」へ向かう。しかしひどい山の中に入っていったはいいが、いざ到着してみると、ライダーはおろかファミキャンすらいない。そう、誰もいない。こんなところでクマにひょっこり出てこられてはたまらんし、今年北海道最後の夜、にぎやかにパーっとやりたいもの。

 次の町の「熊石町青少年旅行村」にはいる。サイトに行ってみるとライダー一人、チャリダ―二人の計四人が広いサイトの片隅に寄り添うようにテントを張っている。早速仲間に入れてもらうが、聞くと、ここのキャンプ場、実は1700円というボッタクリに近い料金らしい。幸い管理人は帰ったということだが、やはり朝に徴収に来るのか?

 さてさてライダーさんはオフ車で北海道中のダートを回っている真っ最中、地元北海道在住で北海道を誰よりも知る。チャリダ―さんは一人が日本全国を一周中で鹿児島から海岸線を厳密にトレースしてきたそうで特に鹿児島、愛知、そしてリアスの岩手なんかは膨大な時間がかかったらしい。そしてもう一人はママチャリ日本縦断中という、なんとも濃いメンツだ。夜遅くまで濃密な旅トークで盛り上がったのは言うまでもない。


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Y.K