阪神高速道路公団設立前の初期の計画
 昭和30年代前半、日本道路公団が名神高速道路を建設中で、東京では都市高速道路建設の為に首都高速道路公団が設立されていましたが、大阪ではまだ阪神高速道路公団は設立されておらず、昭和34年9月に阪神地区の高速道路について研究、調査を行う阪神地区高速道路協議会が設立され阪神地区の都市高速道路網が検討されていました。
 しかし、全部を有料道路の都市高速道路として考えていたわけではなく、阪神高速道路公団10年史によると、「こういうマップを実現したい」という希望をまとめたものだったそうです。実際に下記には現在の第二阪神国道(国道43号線)や、元々は一般道路の計画だったはずの17号西大阪線と現在の12号守口線などを接続した環状線を形成するような路線もあれば、今の新御堂筋にあたる付近にも路線がありますが、大阪の道路網として考えられたもので、必ずしも阪神高速道路としての建設を目指していたわけではないようです。

阪神地区高速道路協議会による阪神地区高速道路網計画案
 阪神地区高速道路協議会では起終点調査等により、9路線142.27kmからなる阪神地区高速道路網計画案を作成しました。
 現在の環状線にあたる路線は「大阪小環状線」という路線名で、現在とほぼ変わらないルートで計画されていました。また、後の第二環状線構想と似たような環状道路が「大阪環状線」という路線名で計画されていました。



※阪神高速道路公団二十年史に記載されていた計画図を元に記載しています。
※図内の地名及び表内のルートの地名は、阪神高速道路公団二十年史に記載されていた経由地等そのまま抜粋しており、旧地名のままです。
(2014年1月24日 下段の表内の建設予定路線から外れた阪姫線の区間について、外れた理由の推測を書き足しました。)



阪神地区高速道路協議会による阪神地区高速道路網計画の当初事業化路線案
 大阪地区の道路計画については、大阪府と大阪市では阪神地区高速道路協議会と別に、市内の自動車交通を都市高速道路で処理して放射線道路と接続して周辺都市を連絡する「新10大放射・3環状道路整備計画」を策定しており、協議会では、この大阪府と市の計画と協議会の高速道路網計画案に検討を加え、緊急整備路線として8路線を当初事業化路線案として出しました。



※阪神高速道路公団二十年史に記載されていた計画図を元に記載しています。
※図内の地名及び表内のルートの地名は、阪神高速道路公団二十年史に記載されていた経由地等をそのまま抜粋しており、旧地名のままです。



大阪府、神戸市による都市計画都市高速道路の決定
 大阪府では、阪神地区高速道路協議会の当初事業化案について都市計画決定の為の検討を加えるため、昭和36年10月に大阪都市計画高速道路技術委員会を設置して大阪府の高速道路網調査を行いました。技術委員会から昭和37年8月25日に答申を行い、同年9月18日に大阪都市計画道路都市計画高速道路が決定しました。神戸市でも同様に神戸市高速道路技術委員会を設置して調査を行い、昭和37年9月9月18日に神戸国際港都建設計画都市高速道路が決定しました。
 これにて大阪府で4路線、神戸市で1路線で合計52.39kmが都市計画高速道路として決定し、阪神高速道路公団にて建設されることになりました。
 決定した都市計画高速道路は現在の阪神高速道路とほぼ同じルートを通りますが、未決定の全体計画の区間については、実現せず計画から消えた区間あります。特に守口線の森小路から運河沿いに南へ伸びるルートは、阪神地区高速道路協議会による阪神地区高速道路網計画案での「大阪環状線」のルートにあたり、後に「第二環状線構想」が出される頃には環状道路のルートが守口線の森小路を通らないルートで計画されたため消える事になるのですが、守口線を森小路まで都市計画高速道路として決定し着工した時点では全体計画にこのルート残っていた為、将来的な延伸に備えて森小路出入口を延伸可能な構造で建設したと思われます。



※阪神高速道路公団二十年史に記載されていた計画図を元に記載しています。
※図内の地名及び表内のルートの地名は、阪神高速道路公団二十年史に記載されていた経由地等をそのまま抜粋しており、旧地名のままです。
(2014年1月17日 路線名に間違いがあり、表を差し替えました。)




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