超2話『KOけ?』
超2話
『KOけ?』
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「ちーっす!」
教室のドアを開け、声をかけながら入っていく。
すると教室の中は生徒の喧騒で溢れかえっていた。
「ウッス! 今日もギリギリだな」
「まぁーなー」
いつもの会話。
どこら辺がいつもかは知らんが・・・
「どっこいしょっと」
自分の席に着くと、親父が言うような台詞を吐く。
妹は俺より一年下なので途中で別れた。
当たり前だが、兄である俺が年上なのは言うまでもない。
そうそう、俺の名前は『魁澤 マサト』
んで、妹は『魁澤 モナ』
この名前でふっと疑問を感じたあなた・・・そう、あなたですっ!
その質問については当社は一切お答えできません。
ダッダッダ・・・ガラッ!!
「……たぁーー! 間に合った〜〜」
豪華な音と声を立てながら教室に入ってくる女。
(あれ? 通りで来ないと思ったら…)
「ふぅ……ふぅ……」
女は息を吐きながら俺のすぐ隣の席まで来る。
俺はそんな女に手をあげて『よっ』と言ってやった。
「…はいはい、おはよう」
「なんだか投げやりだな?」
「今日はちょ〜っとばかし疲れてるのよ」
「自慰もほどほどにしとけよ? 睡眠はしっかりとらなくてはな」
「そうよねぇ……って、んなわけないでしょっ!」
教室の端から端まで響きそうな大声。
なにもそんなに怒鳴らなくてもいいのに・・・若者のカルシウム不足は深刻だな。
「なんだ、違うのか?」
「違うわよっ! なにが悲しくてそんなことをしなくちゃならないの…」
「だって、お前彼氏いないだろ?」
「ぐっ! そ、それを言ったらマサトも彼女いないじゃない」
「うむ、そうだな」
こいつの言うことはもっともだ。
俺は何故だか納得してしまった・・・何故だか。
「人のこと言う前に自分のことを考えなさい」
「俺は大丈夫だ。アテがあるから…」
「…えっ!? そ、そんなのいるわけ…」
(あ、その目は疑っているな? だったら俺は証明しなければならぬ)
そう思いついた俺は冷静に答えた。
「いや、それがあるんだ」
「だ、誰よ?」
「モナだ」
「モナちゃんって妹じゃないっ! まさか、あんた妹に手を出したんじゃないでしょうねぇー?」
「大丈夫だ、出しそうになったけど出してない」
これは事実。
今日の朝だって、ちゃんと抑えたぞ。
俺は野獣であって猛獣ではない。
「それはよかった……って、ちっともよくないじゃないっ!!」
再び教室中に響く声。
「ああ〜、うるさい奴だな」
「妹に欲情してどうするのよっ」
「しただけだ。実行はしていない」
「当たり前でしょっ!」
豪快にそう言い放つと、ドカッと自分の席に座った。
やれやれ、ご機嫌斜めのようだ。
キーンコーンカーンコーン
始業のチャイムが鳴った。
どうでもいいが、効果音を文字で表すとダサイな・・・
それはそうと、俺の隣に座っているうるさい女は、いわゆる幼なじみって奴だ。
そう言うと響きはいいが、違う言い方をすれば『腐れ縁』ってやつだな。
腐りすぎて鼻がひん曲がりそうだ・・・ぐはっ!
「…以上!」
「肝心なことを忘れてるわよっ!」
スパーーン!
スカッと爽やかな音と共に頭に衝撃。
叩かれた方に向くと、そこには巨大なハリセンを持ったあいつの姿。
「どこに、そんな物を隠し持ってんたんだよ?」
「んなこたどうでもいいのよ! 私の名前を紹介するのを忘れているわよ」
「………」
どうしてそのことを知っているんだ?
このテの話ではお約束的な読心術け? それともエスパーけ?
「お前って魔女っ娘け?」
「なわけないでしょっ!」
スパーーーン!!
さっきより豪快で痛快な音を立てながら顔面に振りかざされたハリセン。
いや、マジで痛い・・・鼻血がでてきた。
「それに語尾の『け』ってなによ?」
「それより鼻血が…」
「そんなもん舐めときゃ治るわよ」
「つ、冷たい……それにそれは違う…」
なんて奴だ。
幼なじみであるこの俺に対する態度か?
血も涙も無いんですか? こりゃ酷すぎますぜ・・・
『こら〜〜! そこっ、授業中だぞ?』
そんな大騒ぎをしている俺達に痺れを切らしたのか、教卓に立つ教師が怒鳴る。
あらら、最近は大人もカルシウム不足なんですな・・・こりゃ、本当に深刻だ。
「マサトの頭もね…」
「………」
俺の考えを見透かしたかのような鋭い一撃。
俺のハートはお前の言葉にクラクラだぜぃっ!
いろんな意味で・・・
んで、話は戻るが、このガサツで乱暴で人情の欠片も無い幼なじみ。
こいつの名前は『美作 五月(みまさか さつき)』
名前だけ聞くと、綺麗で大人しくて優しそうな感じだが現実は全く逆!
日本男子の期待を見事に裏切った奴であるのにはかわりない。
着物を着たらヤマトナデシコってな感じだが、こいつの場合は性格を合わせるとヤマトナデチ○コ・・・
スパーーーーーーーーン!!!!
「…ぐふ」
「…まったく」
よ、余計なことは考えるのはやめよう・・・命が何個あってもたらん。
まだこの若さで死にたかぁ〜ない。
・・っと、そんな女か男か見分けにくい奴だ。
なぜなら、胸は妹より小さい上に身長も大してあるわけではない。
だが、態度と度胸だけは胸や身長の数倍はあったりする。
スパスパスパスパスパーーーーーーーーン!!!!!!!
「滅殺」
「……ぴくぴくぴく」
ブラックアウト・・・
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