超3話『昼から闇へ』
超3話
『昼から闇へ』


「……ちゃん」

ゆらゆら・・・

俺の体が誰かに揺らされる。
優しくゆっくりと揺らすのはいいが、気持ちよくって起きられない。

「起きてぇ〜、昼だよ〜」

「なぬっ!?」

昼という言葉を聞いて俺はガバッと起き上がる。
昼といったら飯の時間じゃないかぁーー!!

「ひゃっ!? い、いきなり起きないでよっ」

「おっ? なんだ、モナか…」

「お昼ご飯持ってきたよ」

「さっすがは我が妹っ! お礼に抱きしめてやろう」

「ちょ、お兄ちゃんっ!?」

俺は心の底から想いを込めて、モナの体を抱きしめる。
ギュ〜〜っと、ギュ〜〜〜〜〜っと抱きしめた。
なんだか周りの視線が冷たい。
だが、俺達は魂の兄妹っ!
そんな視線ごときでやられるわけには・・・

「…きゅぅ〜@@」

「お!? どうしたマイシスター?」

腕の中でグッタリとしているモナ。
もしかして俺にメロメロ?

「…なわけないよな」

だとしたら・・・瀕死状態とか?
うむ、それなら説明がつく。

するってーと、以上のことから推測するに俺がしなければいけないことは・・・

「人工呼吸だ!」

そうだ、そうに違いないっ!
・・・っということで、んん〜〜〜〜と。

ズバーーーーーーーーーーン!!!!

校内中に響くかと思うほどの音が鳴ったかと思うと、俺の視界は吹っ飛んでいき・・・

がごーーーーーーーん!!

「ヒデブッ!」


壁にめり込んでいた。
なぜだか顔が半分めり込んでいた。

「お、お兄ちゃん? 大丈夫」

「だ、大丈夫じゃない……かも」

俺の腕の中で、いつの間にか生き返ったモナが心配そうな声をかけてくる。
なんとか顔を引っ張るが、なかなか壁から抜けない。

「マサトっ! 妹のモナちゃんになんてことをしようとしているのよっ」

「あ、五月さん」

「こらっ! なんとか言いなさいっ」

「い、いや……言いたいのはやまやまだけど、その前に引っ張ってくれ」

このままじゃ喋ることすら辛い。
なんとか抜けて、五月にリベンジしなければ・・・

「う〜〜んしょっ」

モナが顔を赤くしながらも引っ張ってくれる。
さすがは妹だ・・・胸なし五月とは大違いだ。

スポッ!

軽やかな音が鳴ると、俺の顔が壁から見事抜けた。
それもこれも全部モナのお陰だ。
今度、風呂で背中でも流してやろう・・・

「マサトくぅ〜〜ん☆」

「なんだよ? 気持ち悪い呼び方するな」

「胸が無くて悪かったわね」

「そう思っているんなら、せめてモナを見習えっ」

「え? 私?」

いきなり自分の名前が出てきて驚く妹。

「…うぐぐ、モ、モナちゃんは関係ないでしょう?」

「いや、そうでもないぞ……ほら」

むにゅっ☆

「……いっ!?!?」


少し大きめの胸を掴むと、ビクッとモナの体が動いた。
俺はお構いなしにゆっくり揉みしだく。

もみもみ・・・

「あ、う…ん……お、お兄ちゃん…」

「五月も見習えっ! モナの胸はこんなにあるんだぞ?」

「きゃぅ〜ん、離してぇ〜」

「あ、あんたねぇ……最低だわ」

俺はモナから手を離し、素早く五月に伸ばす。

「ちょ、あっ……きゃっ」

ぺたっ☆

俺の手が制服の上から五月の胸に触れる。
本当は掴もうとしたのだが、掴めなかった・・・

「ほらみろ? お前のは掴めないじゃないか?」

「あ……」

「せめて掴めるぐらいにはなれっ!」

「…よ……」

五月の体がプルプルと震えだした。
なんだこいつ? いっちょ前に怒っているのか?
怒るならせめて胸が大きくなってからにしてほしいものだ。

「余計なお世話よっ!!」

五月の怒鳴り声と共に蹴りが放たれる。
俺はそれを避けようとしたが・・・

(やべっ! モナがいること忘れていたっ!!)

「…きゃっ!?」

案の定、モナが悲鳴をあげる。
避けることが不可能だと悟った俺は覚悟を決めた。
俺も男だ! 女相手に逃げることもない、正面からぶつかってやる。

「ふっ、お前の蹴りなど…」

シュッ・・・ドガキッ!!

「ぶへーーっ!」


台詞の途中で五月の足が俺の側頭部をとらえた。

(ああ〜〜、オラはこのまま死んじまうんだなぁ〜〜)

なんだかこのままでは死にきれん。
せめて・・・せめて最後まで台詞が言いたかった・・・ガクッ。

またブラックアウト・・・






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