超8話『必殺! ガトリング・ファイアー!』
超8話
『必殺! ガトリング・ファイアー!』
-
麗らかな時間と共に照らされる木漏れ日。
窓から差し込む光はとても気持ちよく、お昼寝には最適だ。
(窓側の席っていいなぁ〜〜)
教卓に立って、ひとり熱弁している教師を尻目に欠伸をかます。
午後ってのはとにかく眠たくてかなわない。
起きて授業を受けているヤツはロボットだろうか。
俺には到底真似できないと言い切れる。
(五月はなにをやっているのかねぇ〜?)
ふと気になった俺は隣に首を振り、声をかける。
「五月や〜〜い」
「………」
俺の問いかけにも答えず、黒板とノートを交互に睨めっこしている五月。
真面目だなぁーっと思いつつも、アホだな〜っとも思う。
社会に出たらそんな勉強はなーんの役にも立たないんだぞ?
「それを承知の上でお前はやっているんだな?」
「マサト、うるさいっ」
その一言で終わった。
俺様の思い遣りを込めまくったのにも関わらず・・・だ!
俺は・・・お前のためを思って言ってやったのに・・・
(五月のバカヤロウ〜〜〜〜〜〜〜!!!!)
そう、心の中で叫んだ。
なのに・・・
スパーーーーーーーーーン!!!!
俺の顔面にハリセンが翳された。
それがものすっごく痛いのなんの・・・マジですぜ?
(それより、どうして俺の心の中がわかったんだ?)
やはり、そこが一番の疑問である。
するってーと、答えはアレだ・・・アレしかない。
「お前って魔女っ娘け?」
スパーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!
「ぶぅっ!」
ぽたぽた・・・
俺様の鼻から血が噴き出してきた。
机に次々と落ちていき、いつしか水たまりができた。
このまま放っておいたら琵琶湖以上になるのは目に見えている。
だから俺はポケットからティッシュを取り出すと両鼻の穴に詰め込んだ。
(よし、これで処置はOK!)
………
んで、あれ以来することが無くなった俺は無駄に時間を過ごすことになった。
五月に絡んでも、なーんにも反応してくれない。
俺のことは眼中に入ってないらしい。
(くそっ、何だかムカつくので憂さ晴らしだっ)
筆箱から消しゴムを取り出し、消しカスをセコセコと作り始める。
それはもう、大量に・・・あの技を使うためには数が必要なのだ。
ケシケシケシケシ・・・
そんでもって大量の消しカスが生産された。
あとはコレを手の前に置く。
(標準・・・斜め前の席の今にも寝てしまいそうな男子生徒にセット!)
そして狙いを定めて・・・
「ファイアーーーーーーーーーーー!!!!」
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!
俺の指から目にも止まらぬ早さで弾き放たれる消しカス。
それらが全て男子生徒の後頭部に直撃した。
「あだだだだだだだだだだだだだだだ!?」
案の定、男子生徒は悲鳴の声をあげる。
だが、俺は止めない・・・手加減をするほど甘ちゃんではないのだよっ!
我我我我我我我我我我我我我我我我我我我我!!!!
今度は効果音を漢字に変換して飛ばす。
速度は先ほどとさほど変わらず、手加減抜きで放たれる。
「あだだだだだだだ・・・・・・ガク」
(ふっ、おちたか)
俺は勝ち誇ったように笑みを零すと手を止めた。
そして机の上を見てみると、大量にあった消しカスがひとつ残らず無くなっている。
全てあの男子生徒に放たれたと私は推測するのだが・・・
(ふわぁ〜〜、気分もスッキリしたし寝るか)
そう考えた俺は机に突っ伏して闇の中へと沈んでいった。
「zzzzz・・・」
そして、男子生徒も消しカスの中に沈んでいった・・・っていうか埋まっていた。
トップへ戻る 超9話へ