超10話『兄失格』
超10話
『兄失格』
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家に帰ってから数刻・・・
「モナ〜」
「………」
「ほらほら、この番組面白いぞ?」
「………ぷんっ」
帰りのことがよほど気に障ったのか、家に帰ってきても一言も口を利いてくれない。
(妹よ……俺は悲しいぞ…)
まぁ、俺が悪いと言えば悪いのだが、それでも俺は寂しい。
このテの話ではお約束のように俺達には両親がいない。
別に死んだわけではないのだが、仕事が忙しいらしくて家にいないだけ。
一年に一度ぐらい帰ってくればいいところだ。
「モナっ、兄ちゃんが悪かった!」
だから俺は謝った。
モナに嫌われたらこの家で肩身が狭くなってしまう。
居づらい家なんてごめんだ・・・
「………」
かちゃかちゃ・・・
洗い物をしながらチラッとこちらを見たが、すぐさま仕事に戻るモナ。
そんな態度にもめげずに俺は土下座をして謝る。
それはもう〜、地面に額を擦りつけるぐらい頭を下げた。
「この通りだっ! バカな兄ちゃんを許してくれ」
「………」
「頼むよ」
「……つーんだ」
ガビーーーーーーーーーーン!!
………
モナの冷たい視線を浴びせられながらも俺は誤り続けた。
ワァーーー・・・
「………」
「許してくれ〜」
居間のテレビでボーとスポーツ観戦している妹に土下座。
ペラ・・・ペラ・・・
「………」
「許してくれ〜〜」
自室で漫画を読んでいる妹に土下座。
ウィーーン・・・ガタンガタン・・・
「………」
「許してくれ〜〜〜」
洗濯機をまわしている妹に汚れ物を渡しながら謝罪。
カポーーン・・・
「………(赤面)」
「許してくれ〜〜〜〜」
風呂に入る妹の背中をゴシゴシと流しながら謝罪。
ガチャッ・・・
「……!?」
「許してくれ〜〜〜〜〜」
トイレに入っている妹に対してドアを開けて土下座。
すると俺の気持ちが通じたのか、ついにモナが許しの言葉を言ってくれた。
「ゆ、許してあげるからドアを閉めて〜〜」
………
夜。
俺は自分のベッドで転がりながら考えていた。
(モナは許してくれたけど、それに甘えていたらダメだよな)
そう思った俺は起きあがり、マイまくらを持って部屋を出た。
目指すは妹の部屋・・・っていってもすぐ着いた。
なんてったってモナの部屋は俺の部屋の向かいにあるから部屋をでたらすぐである。
『徒歩2秒、所要時間2秒』ってなかんじで立地条件バツグンだ。
コンコン・・・ガチャっ
「お兄ちゃん? どうしたの?」
ドアを開けて部屋に入ると、ベッドに腰掛けるモナが声をかけてきた。
俺はモナのすぐ側まで行くと、ドカッと隣に腰を下ろす。
「そのだな……悪かった」
「そのことはいいよ」
「いやいや、それだと俺がよくない! モナの好意に甘えたくはないんだ」
「別にいいんじゃない? 私とお兄ちゃんは兄妹でしょう?」
確かにそうなのだが違うのだよ妹よ!
親しき仲にも前戯あり・・・じゃなかった。
親しき仲にも礼儀あり・・・っだ!
「兄妹でもケジメは必要だと思うのだ」
「それはそうだけど…」
「だから今日、俺はモナに添い寝をしてやろうと思う!」
「そ、添い寝って……私のベッドで一緒に寝るの?」
「そうだ」
「そ、そそそそそそそそそそそんなのべべべべべべべべつにいいよ…」
モナは顔を真っ赤にしたかと思うと、そそくさとベッドの中に隠れてしまった。
俺は追いかけるようにモナに続いてベッドに潜り込む。
もぞもぞもぞ・・・
「お、お兄ちゃん!? わ、わわわわ私はひとりで寝られるから…」
「いいからいいから」
俺に背を向けるモナの体を後ろから抱きしめる。
「あっ、お兄ちゃん?」
「モナも大きくなったんだな…」
「う、うん」
「ちょっと前までは泣き虫でいつも俺が助けていた妹とは思えないな…」
「……お兄ちゃん」
昔の思い出に浸るなんて俺らしくない。
いつもはパーッと叫んで、暴れて、笑っているのが俺。
だけど、たまにはこんな気分になるときだってあるさ・・・
「助けていた妹がいつしか大きくなり、俺を助けてくれる」
「………」
「なんだか寂しくもあり、嬉しくもある」
「大丈夫、私はいつでもお兄ちゃんの妹だから…」
そう言ってモナがまわしている俺の手に小さな手を重ねてくる。
その手の温もりがモナの気持ちを表しているように温かい。
「モナ…。本当に大きくなりやがって…」
もぎゅっ☆
俺はモナの豊満な両胸をパジャマ越しに掴む。
「きゃうっ!」
「ここなんかとくに立派になったなぁ〜」
もみもみ・・・
「あ、あんっ☆ そ、そんなに強く揉まないでぇ〜」
「うへへっ! モナの胸は最高だのぅ」
「あ、ふぅ…ん……お兄ちゃん……背中にあ、当たっている…よ」
「兄ちゃんが健全な青少年だってことだ」
俺のモノがギンギンになってモナの背中をこついている。
『妹の欲情するなんて最低』なんて五月にいわれたけど、なんだかわかる気がする。
こんな事をしていると少〜し罪悪感がぁ〜〜。
「妹よっ! 俺は今、人間の道を踏み外しているっ」
「ど、どうして?」
「妹に欲情するなど兄としてあってはならない姿なのだー!」
「……ぽっ」
なぜか赤くなるモナ。
普通は軽蔑するはずなのだが、我が妹は一度もそんなことはない。
いいことなのか、悪いことなのか・・・
「こんな兄を軽蔑しないのか?」
「し、しないよ。よ、欲情するってことは……私のことを女の子として見てくれているってことだよね?」
「そりゃまぁ……な」
「それって、少し……嬉しいかな?」
(うわぁー、ものごっつう可愛いやんけぇーー!!)
モジモジしながら言う妹の姿はとても可愛くて、このままだと我慢できそうにない。
なにが我慢できないかは言うまでもないが、それがまた困ったものだ。
このままだと本当に猛獣になってしまそうだぁーー!! がぉぉぉ!!!!
「それにね? お兄ちゃんになら……その…いいかなって……なんてね♪」
「ぐはぁぁぁっ!?」
なんですとー!?
そんなことを言いはるんですかあなたはっ!
こりゃ一大事でっせ、テントが破裂寸前5秒前っ!!!!
そんな俺が行き着いた答えたは・・・
「妹よ、許せ」
「…え?」
ゴイ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン!!
豪快な音を立てて俺のヘッドがモナの後頭部をとらえた。
「きゅぅぅ…………カクッ」
気を失った妹に俺は少し心が痛みながらも自分に言い聞かせる。
これでよかったんだと・・・
「兄ちゃんを許してくれ」
こうでもしないと自分が抑えられなかったんだ。
モナの言葉を聞いているとマジでやばかったのですたいまい。
「全部、自制心が足りない俺が悪いんだぁ〜〜〜〜!!」
そんな叫びもモナの耳には欠片も入ってないのは言うまでもない・・・
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