超12話『魔法少女登場!』
超12話
『魔法少女登場!』
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「マサト〜」
「…んあ?」
ユサユサと俺の体が揺らされる。
どうやら隣の五月がしているようだが気にしない。
俺はこのまま寝たいのだ・・・永遠の眠りに・・・
「ねぇ…、マサト〜〜お・き・て☆」
「うぅ〜〜寒気がする」
五月が気持ち悪い口調で俺を起こそうとする。
なにを企んでいるのかは知らんが、ヤバイのは確かだ。
「んん……なんだよ?」
俺は危険を感じながらも重たい頭を上げる。
するとそこには制服をはだけさせてこっちを見る五月の姿。
「んふ、やっと起きた〜」
「お、おいおい……なに考えているんだよ?」
「なにって? 大好きなマサトの為だよ〜」
ま、マジか?
五月のヤツは錯乱でもしているのではないだろうか?
こいつがここまでやるなんて信じられん・・・。
いやいや、それ以前にここは学校だ。
他の生徒もいるだろうに・・・って、何で誰もいないんだ?
もしかして体育の時間で全員出払っているとか・・・
「五月、他の生徒は?」
「そんなの関係ないよ。マサトは私を見てくれたらいいの〜」
「んな滅茶苦茶な…」
なにがどうなっているんだ?
今の俺にはまったくもって全然これっぽっちもわからないぞ。
「マ・サ・ト〜☆ し・て♪」
そう言いながら五月は制服を脱ぎはじめる。
それを俺は慌てて止めに入った。
「し、しっかりしろよ」
「私は普通だよ? マサトに私の体をあげる☆」
「あげるって……お、俺は…別に……」
「私のこと、嫌い?」
「い、いや……嫌い……じゃない」
「じゃぁ…」
ギュッ☆
五月が俺に抱きついてくる。
なんだかんだ言っても五月も女の子だ、いい匂いがする。
(こ、このままでは理性がもたんぞ?)
女の子特有の匂いに俺の理性が崩壊をはじめた。
そしてさらに五月の追い打ち。
「我慢しないで……好きにして…」
「…くっ、ままよっ!」
据え膳食わぬは男の恥!
俺は少し強引に五月を押し倒し、その上に覆い被さる。
「きゃっ」
「五月っ」
「あん☆ マサト……いっぱいして…」
五月に首筋に顔を埋め、優しくキスをする。
片方の手は床と体の間に滑り込ませてグッと抱き上げ、余った手は胸へと持っていく。
『そこまでよっ!』
「え?」
これからだというところで、どこからともなく止められた。
俺は五月からさっと離れ、辺りを見渡すが誰もいない。
だけど声は聞こえた。
・・・とその時っ!
・・・ガラガラッ!
豪快に教室のドアが開かれた。
そしてそこには漫画やアニメにでてくるような服装をした女の子が立っていた。
「…コスプレ?」
「違いますっ!」
どうやら違うらしい・・・。
「そこまでよっ、怪人!」
「怪人? 誰が?」
「あなたを誑かそうとしたその女よっ」
ビシッと五月を指さして女の子は叫ぶ。
俺はそんなことあるハズがないと思いながら振り返ると・・・
ドゲシっ!
「うおっ!?」
ひゅ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!
五月が両足で俺を蹴り飛ばし、そのまま俺様は飛んでいった。
「きゃわっ」
そしてその先にはコスプレの女の子がいたそうな・・・カク。
「だ、大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ」
廊下で二人して倒れ込む姿は滑稽の一言。
だが、そんなことは言ってられない。
俺が五月と思っていたのはどうやら違うらしい・・・。
・・・と、その前に。
「君は誰?」
「私? 私は…」
女の子はさっと立ち上がり、目の前でクルッと一回転してからポーズをとる。
「愛と平和の救世主! 魔法少女・ヘルシーモナ☆」
「ヘルシー……」
なんだか健康に良さそうな魔法少女だな。
それによく見ると、いろんな意味で健康さが見え隠れしている。
引き締まった綺麗な足に、顔と身長のわりにはアンバランスな豊満な胸。
これぞケンコーーーー!!!!
「っていうか、妹のモナ?」
「ギクッ! ち、違います……私はヘルシーモナ☆」
「ってーか、モナだろ?」
「そ、そんなことより怪人をなんとかしないと…」
話を逸らしたな?
そのあらか様に怪しい逸らし方は妹のモナだ。
嘘が大の苦手だからな・・・ふっふっふ。
まぁ、ここは話を合わせてやろう・・・兄として。
「怪人ってなに怪人だ?」
「あれは……“胸無し怪人ツルペター”よ!」
「…まんまだな」
哀れ五月。
怪人になってもそこまで言われたら死んでも死にきれんだろう・・・。
「胸が無くて悪かったねー!!」
本人もかなり気にしているみたいだ。
でも、胸がないのは事実だから仕方ない。
「でもさぁ、モナってそんなに胸大きかったか?」
「魔法少女になったら50%増量なの☆」
「ほうほう…、それはスゴイ!」
「こらーー! 私を無視するなぁーー!!」
怒った怪人が俺達の方に向かって突撃してきた。
俺は2人の邪魔をしないように少し離れる。
「うらぁー!」
ぶんっ・・・スカ。
「よっと」
大きな胸をプルンプルン揺らしながら怪人の攻撃を交わすモナ。
それを追撃するように再び怪人が踏み込んで攻撃を繰り出す。
だが、その胸は揺れない。
「せいっ」
しゅっ・・・スカ。
「っと」
追撃も難なく胸を揺らしながら交わすモナ。
「………」
怪人は次の攻撃を繰り出すことなく止まってしまった。
俺はそれを見てこう言った。
「いろんな意味で勝負あったな…」
「う、うわぁーーーん!」
そして怪人は廊下の窓ガラスを突き破り飛び降りた。
「ふぎゃっ!」
・・・でも、ここは一階だった。
「悪は必ず負けるのよっ! そして正義はいつでも勝つ!」
「まぁ、それはそうだな」
「それではあなたも気をつけてね☆」
それだけ言って俺に背を向けて去ろうとするモナ。
俺はそんな背中に声をかける。
「ああ、ところで今日の夕飯はなんだ?」
「うーんとね、お兄ちゃんの大好物のハンバーグ……って、私は魔法少女ヘルシーモナよ〜」
自分の言ったことを取り繕うに言い直すモナ。
「バレバレやっちゅーねん」
………
キーンコーンカーンコーン!
「……はっ!?」
ふと目が覚めた俺は辺りを見渡す。
だが、そのありきたりのいつもの光景にかわりはなかった。
「夢か…」
ちゃんちゃん♪
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