超17話『急展開』
超17話
『急展開』


あれから数日・・・

「好きです先輩、付き合ってください」

ついにこの日がきた。
いつかは来ると思っていたけど、来てしまった・・・。

キヨの告白が・・・。

俺がキヨを知ったのは、ほんの数日前だけどキヨは違った。
キヨはずっと俺を見ていて、モナからもたくさんいろんな事を聞いたらしい。
それが溜まりに溜まって、妹を通して俺の前に現れたと言うことだ。
だから、告白はあながち不思議ではないのだ。

「………」

んで、放課後キヨに呼び出されて、この告白を受けたというわけだ。
そんで、ここはお約束のように夕日に照らされる公園であるのは言うまでもない。

「ダメ……ですか?」

「いや、ダメと言うわけではないが……なにぶん告白なんてされたこと無いから…」

そうなんだよ。
俺は告白なんてされたこと無いから、なんて答えたらいいのかわからん。
つーか、俺はキヨのことよく知らないし・・・。

「先輩」

「ええー、こういうときはなんて言ったらいいんだ?」

「ええ? その……聞かれても困るんですけど…」

「…だよなぁ」

そして二人してため息を吐く。
おいおい、俺達ってなにをやってるんだか・・・。

「いきなりこんなことを言われても先輩は困りますよね?」

「ま、まぁな」

「それじゃぁ、ひとつだけ答えてください」

「おう」

「先輩は……好きな人がいますか?」

「………」

好きな人がいるか・・・か。
俺はこの質問に正直に答えるべきなのだろうか・・・それとも・・・。

「先輩、答えてください」

「………」

「先輩に好きな人がいたら、私は身を引くつもりです」

「え?」

「きっと、相手の方も先輩が好きなはずですから…」

それって誰かわかっている・・・ってことか?
どうやらキヨには全て見通しのようだな。

「ああ、キヨの言うようにいるよ」

「そうですか。私が言うのも変ですが、頑張ってください」

「……ああ」

「先輩、ぐす……さようなら」

「お、おいっ!」

俺の制止も聞かず、キヨは去り際に涙を流しながら走っていった。

「俺は…」

手をギュッと握りしめ、力を込める。

「俺は……!」

そして俺は叫んだ。

「こんな急な展開は納得できんっ!!」

だが、俺の叫びはこれで終わらない。

「それになんだっ! この真面目腐った会話はっ!!
 お約束にもほどがあるってモンだっ!! ええー!?
 可愛い後輩の告白は嬉しいが、ものには順序ってモンがあるんだー!
 いきなりなんでも詰め込みやがって、無理ってモンがあるだろうがー!!
 それより消費税下げやがれーー! 何でもかんでも金を取るんじゃねぇー!!
 アビダビバブバ、ビビバビバブガバーー!!
 %&#*¥Z?<¥#$*/%=>¥#%$ー!!!!!!」

………

「はぁ……はぁ……」

ありったけの言葉を叫んだあと、俺は息を整えるのだった。

「…ふぅ」

いろんな不満を叫ぶと幾分気分がスッキリとした。
最後の方は自分でもなにを言っているのかわからなかったが・・・。

「つまり、今回の話には無理があるってことだな」

こじつけぽくって、いけないわなぁ・・・。
このテの話には後輩からの告白なんて珍しくないし、いきなりもお約束。
それだけにベターであってベストではない。
厳しいようだが、現実の目は甘くはなかった・・・。

「ようはダメだってわけだわなっ!」

言いたいのはそれだけだった・・・






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