超18話『急接近』
超18話
『急接近』
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んで、前回に続き今回はコレ。
タイトルからしてアレだわなぁ・・・。
キーンコーンカーンコーン!
チャイムが鳴り終わると、俺は一応屋上に向かう。
なぜかは知らないが、五月に呼び出されたのだ。
タッタッタ・・・ガチャッ!
重いドアを開けると、そこは夕日に照らされている屋上。
俺は辺りを適当に見渡すと、フェンスから外を眺める五月の姿。
「よっ!」
五月のすぐ側まで近寄り、俺は声をかけた。
その声に五月はゆっくりと俺の方に振り返り、寂しそうな目でこちらを見つめる。
「どうした? 元気がないな」
「……そんなことないよ」
「そうか? ならいいが…」
「…うん」
返事をすると五月はフェンスにもたれ、視線を下に落とす。
「おいおい、本当にどうした?」
「マサトは……いいの?」
「…? なにがだ?」
「可愛い後輩の告白をけって……」
「え? どうしてお前が知ってるんだ?」
「うん、偶然通りかかったら聞こえた」
もしかしてマズイとこ見られたか?
五月だけには知られたくなかったんだがな・・・。
「マサト……好きな人いるって…」
「あ、ああ…」
「それを聞いちゃってから、なんだか落ち込み気味でさ」
「?? どうして五月が落ち込むんだよ?」
俺の質問には答えず、五月はひとり喋りだす。
「私ってさ、料理はヘタだし……怒りっぽいし……野蛮だし……」
「………」
「チビだし……胸無いし……素直じゃないし……」
「………」
「いいところ無いけど、それでも……っ!」
どんっ!
そこまで言って五月が俺の胸に飛び込んできた。
「マサトが好きなのっ」
「さ、五月…」
「あは♪ やっと素直に言えた」
「………」
「私、マサトのことが好きなの……大好きなの」
俺の服をキュッと掴みながら目に涙をうっすらと浮かべる五月。
その姿に俺は・・・俺は・・・!
「五月っ!」
ぎゅむっ☆
俺は想いの限り五月を抱きしめた。
「俺もお前が好きだっ」
「……う、うそ?」
「嘘じゃないっ! 俺も五月が好きなんだっ!!」
ついに言ってしまった・・・隠し続けていた想い。
俺が五月を好きだという想いをついに伝えた・・・。
「五月がチビだろうが胸無しだろうが俺は好きだ」
「…マサト」
「今まで何回も病院送りにされたり毒殺されそうになったけど俺は好きだぞ?」
「ひ、酷い……そこまで言わなくても」
「冗談だ」
チュッ☆
俺は五月と同じくらいに姿勢を落とし、頬にキスをした。
「あっ…」
「泣くなよ」
「うん……うん……」
そう言いながらもポロポロと微笑みながら涙を流す五月。
その姿は今まで比べものにならないくらい光っていて魅力的だった。
今まで見たことのない五月・・・それが俺の目の前にある。
「ねぇ、マサト……ん」
五月は目を閉じてツンと唇を突きだす。
その意味を知った俺は五月の肩に手を置いて少し離す。
「…マサト?」
「あのさ、そんなに急ぐことはないと思うぞ」
「え?」
「ほら俺達って幼馴染みの時間が長かっただろ? だから急には変われない」
「わ、私は違うよ…」
五月は頬をポッと赤く染めながら言った。
「うーん。でも、俺は無理なんだ」
「………」
「別に五月が嫌いなわけじゃない。心の整理がまだできてないんだ」
「うん、わかるよ」
「だからさ、キスはそれまで待ってくれないか?」
「わかった。マサトがそう言うなら待つよ」
「ありがとよ」
そしてどちらともなく、お互い笑い出す。
「はははっ、それにしてもかなり屈折した愛情表現だったな!」
「それを言ったらマサトもだよっ」
「だな」
「うん」
今までなにを睨み合っていたのかバカらしくなってきた。
俺と五月は今までずっとお互いのことが好きだったのだ。
それなのに俺達は素直じゃなくて、お互いそのことが相手に言えなくて。
そんな、ずっとずーっと遠い回り道をしてきたんだ。
「マサト、顔が赤いよ?」
「え? そ、そりゃぁ、夕日があたっているからさ」
「ふふっ、照れちゃって」
夕日に照らされながら微笑む五月の笑顔に思わずドキッとしてしまう。
なぜだか心がキュンッと締めつけられる。
(…って、気がつけば話がうまく運びすぎてないかい?)
人生、こんなにうまくいくはずがないと俺は常々思っている。
いや、思っていた。
今日のこの瞬間までは・・・
こんなにうまくいってインダス文明っ!?
…ってなパクリっぽいラストでシメ。
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