超21話『必殺! ガトリング・ファイアー二式!!』
超21話
『必殺! ガトリング・ファイアー二式!!』
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麗らかな午後。
「ふわぁ〜」
ほんのひとつ、爽やかな欠伸をして体をうーんと伸ばす。
午後の授業は眠たくてかなわん。
だが、俺は寝るわけにはいかない・・・なぜなら五月が寝てしまっているから。
五月の代わりにノートを写すのが俺の役目。
「ふっ、惚れた女の為さっ」
キザっぽく呟くと、隣の五月に目を向ける。
そこにはスヤスヤと満足そうな笑顔で寝こける五月の姿。
その姿に「自分でも変わったな」と思いながらノートを書き殴っていった。
カリカリカリカリ・・・
ノートにペンを走らす音が教室中に響く。
ただそれだけの音が無性に鬱陶しく感じるのは俺だけだろうか?
「……暇だ」
書くだけなんて暇で暇で死にそうだ。
唯一の救いと言えば、隣で眠る五月の寝顔。
それがなければ俺の理性はすでに崩壊し、凶暴化して暴れ回っていて今頃教室は火の海と化していただろう。
「それもこれも五月のお陰なんだぞ? 感謝するのだ!!」
『うるさいぞー!! 魁澤っ!!!!』
「……あ」
いつの間にか声に出ていたようだ。
毎度のことながらカツラヘッドの教師に怒られた。
(ふぅ、大人しくするか)
「それにしても、ごっつー久しぶりに苗字を呼ばれたような気がする…」
………
カリカリカリ・・・
やっぱり暇だ。
本当に暇だ。
マジ激ヤバイくらい暇だ。
(ガトリング・ファイアーは前にやったしなぁ…。他になにかないかなぁ?)
そのとき俺は閃いた。
そう・・・新必殺技を・・・
「ふっふっふ」
名付けて・・・ガトリング・ファイアー二式っ!!
「そうと決まれば、さっそく用意っと…」
俺は筆箱を開け、中からシャーペンの芯をありったけ取り出す。
そしてそれらを綺麗に同じ方向に並べると準備完了!
「ファイアーーーーーーーーーーーー!!!!」
シュシュシュシュシュシュシュシュシュ・・・
高速でシャーペンの芯を次々と指で弾く。
それは戦場に放たれた弓矢のように飛んでいった。
「ぐあっ!?」
ドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドス!!
哀れ、斜め前の席の男子生徒。
前回に続き、今回もターゲットとなるのは運がなかったな。
シャーペンの芯は見事に男子生徒の背中に無数に刺さっていた。
「ぐ、ぐぁ………ばた」
「ふっ、所詮この世は戦場だ!」
グッタリと崩れ去る男子生徒は、戦ドラマですぐやられるザコ兵士みたいだったのは言うまでもない・・・
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