超25話『スーパーでシェイクでダンスでトラップ!?』
超25話
『スーパーでシェイクでダンスでトラップ!?』
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帰庫帰庫帰庫・・・
なぜだか知らないが、効果音が漢字で変換されてしまった。
んで、俺様は現在モナとスーパーに買い出しにきている最中。
せっかくの日曜なのに無理矢理連れてこられたのだ・・・まぁ、たまにはいいけど。
キコキコキコ・・・
これが正しい効果音。
スーパーによくある買い物かごの音が響く。
それを鳴らしながら俺とモナは店内を徘徊した。
「うへぇ〜、なにやら沢山あるな〜?」
「そうだね。だからいつも迷うの」
「わかる、その気持ちが今! 俺にはすべてわかったぞ」
「…だから、ときどき一緒に来てね?」
そう言ってニッコリと微笑みを向ける。
ううむ、俺ってばモナのこの笑顔に弱いのだ。
「おうっ! まかしてくれっ!!」
「頼りにしてるね」
そして再び店内を徘徊。
辺りを見渡すと、ピンからキリまでの値段がついた商品が並んでいる。
俺は適当にその辺りの物を取ると、良さそうな物をかごの中に放り込んでいった。
「お、お兄ちゃん? あぁー!! 勝手に入れないでよ〜」
「い、いや……大きな声で“入れる、入れない”なんて叫ばないでくれ」
「もうっ! こんなに大きいの入れたらダメでしょ?」
そんな恥ずかしい言葉を叫びながら、俺が入れた特大のスイカをかごから放り出す。
モナが次々と俺の入れた物を放り投げていくとかごが空になってきた。
「お兄ちゃんっ、こんな高いの入れたらダメだからね?」
「そ、それは…」
怒りのモナがマツタケを手に持って俺に抗議する。
年頃の女の子がそんな物を持っているだけで、男子中学生はビンビンもんだ。
それが特大サイズとくればなおさら・・・。
………
なんだかんだで無事、買う物は決まってモナがレジに並んでいる頃。
俺は缶ジュースが並んでいる前に佇んでいた。
「この缶を振って元に戻したら、やはり誰かが買うのだろうか?」
そんなことを考えていた。
誰もが一度はしてみたいと思っているに違いない。
だったら、俺がひとつ試してみよう・・・。
「よし、とりあえずこれを…」
手を伸ばし、“シュワッと爽やか、シュワサイダーG”とラベルに書いてある缶を手に取る。
シュワサイダーGの“G”がとてつもなく気になるのだが・・・Gってなんだろう?
「それはさておき……レッツダンスっ!!」
釈迦釈迦釈迦釈迦!
再び変換を間違えてしまった。
気を取り直して・・・
シャカシャカシャカシャカシャカ!!
俺はリズムを取りながら豪快に振った。
マラカスのようにダンサーのまねごとをしながらシェイク!
「う〜〜〜〜〜〜はっ!!」
ダンス終了。
そしてちょうどその頃、会計を済ませたモナが俺を見つけた。
「お兄ちゃん、帰るよ〜」
「おうっ」
俺は手に持った缶を元の場所に戻すとこの場を後にした。
ただ、超劇悩殺急激変速超倍密度音速激痛痛快爽快奇々怪々トラップを残して・・・
………
次の日。
いつものように学校に行くと、五月が困ったような顔をしていた。
「どうした?」
「あ、マサト? この缶ジュースの蓋が開かなくて…」
「どれどれ」
俺はその缶を五月の手から奪い取ると、周りをぐるっと見てみる。
「…ふむ、変なところは見あたらないな。それより、このジュース。どうしたんだ?」
「うん、喉が渇いたから朝飲もうと思ったんだけど、開かないからマサトに見てもらおうかなって」
「…そうか」
それなら仕方ない。
この俺が一肌脱いでやろう・・・これも惚れた女の為だ!
「うしっ」
ひとつ叫び、蓋を開けようとしたがこれまた固い。
「マサト……どう?」
「ん? まぁ、大丈夫だろう」
心配そうな五月をとりあえず適当に誤魔化す。
今度こそ俺は全力を振り絞って蓋を引っ張った・・・
だが、俺はこのとき気づいていなかった。
この缶ジュースの名前がシュワサイダーGということに・・・
・・・プシュッ!
「あっ」
「おっ? 五月、開いた……ぞぉぉぉぉぉぉぉ!?」
ブシャァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!
最後の言葉が悲鳴のように響く中、缶の入り口から噴水のように中身が噴き出した!
その勢いがあまりにも凄まじくて、顔に直撃している俺は今にでも気絶しそうだ。
ブシャァァァァァァァ・・・・・・・
だが、その勢いも数秒で終わった。
あれだけの量が一気に噴き出したら、中身はすぐになくなるだろう。
そして最後に残ったのはびしょ濡れになった俺だけ。
「………マサト?」
「なんだ?」
「あの、大丈夫?」
「大丈夫じゃない……ガク」
そして俺はその場で倒れた。
意識が闇に吸い込まれる中、俺は思いだした・・・この缶ジュースは俺が昨日、シェイクしたものだと。
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