プロローグ『小さな妹』
プロローグ
『小さな妹』
「息子よ、新しい家族ができるぞ?」
「……え?」
晩飯を食べている最中のこと。
親父が突然、そんなことを言い放った。
「父さんはな、再婚することになったんだ」
「………」
「あちらの方には女の子がいるらしいぞ?」
「……本当か?」
思わず“女の子”という言葉に反応してしまった。
俺も18歳になっても彼女が一度もいた試しがないので、少し敏感だったりする。
〜 数日後 〜
「親父よ…、確かに女の子だよ」
親父の言ったとおり、俺には新しい家族が出来た。
そして今日から一緒の家に住む事になったので来訪してきたのだが・・・。
「や、やぁ……こんにちは」
「…こ、こんにちは」
俺が恐いのか、ツインテールの可愛らしい女の子は少し怯え気味に答えた。
クシャクシャと自分の髪を掻きながら体を屈め、女の子と同じ視線に合わす。
「歳はいくつかな?」
「じゅ、12才…」
「…そう」
若すぎるよ親父・・・。
まぁ、かなり可愛いから大きくなったらモテまくるだろうな。
「えーと、俺は“広瀬 祐樹(ひろせ ゆうき)”って言うんだ。よろしく」
そう言って俺は手を差し出す。
すると女の子は恐る恐る手を差し伸べて、小さな手を重ねてきた。
「ゆ、ゆりねは“沢渡 百合音(さわたり ゆりね)”っていうの」
「百合音ちゃんかぁ〜、可愛い名前だね?」
「…あ、ありがと」
可愛い顔をうっすらと赤く染める百合音ちゃん。
そんな姿を見ていると、いつの間にか邪な考えはどこかに吹っ飛んでいた。(笑)
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