第1話 ずっと…
第1話
『ずっと…』
9月下旬。
秋にはまだ遠く、少し汗ばむ季節。
「もう、夏は終わりなのに今日は暑いね」
「そうか? 俺は特に暑いとは思わないが…」
いつもの会話。
いつもの公園でいつものベンチ。
よく考えたら変わらないね。
「私達って、いつもここにいるよね?」
「ん? そうだな」
大学の帰りは、いつもこの公園による。
毎日毎日・・・
「小さい頃もここでよく遊んだよね」
「ああ、なんとなく憶えている」
「私、いっつも浩ちゃんに助けられたんだよ?」
「あ? そうだった………か?」
「うんっ」
そうなんだよ。
浩ちゃんはいつも私を助けてくれた。
イジメられていたときも・・・
転んで泣いていたときも・・・
いつも・・・いつも・・・
「ありがとう」
「なにが?」
「いつも私を助けてくれて…」
こんな私を側においてくれて・・・
本当に・・・ありがとう。
「ばーか、なに言ってんだよ」
「…え?」
「これからも助けてやるんだから、今、礼を言われても仕方がない」
「…浩ちゃん」
優しいね。
いつも私を大切にしてくれる。
どんなときも私の味方で、ダメなときは怒ってくれる。
そんな浩ちゃんが――好きだよ。
私は大好きだよ。
「…雪」
「なに?」
「いつまでも……俺の側にいてくれるか?」
「うんっ!」
私は力強く返事をする。
ずっといるよ。
浩ちゃんが私を必要としなくなるときまで・・・
浩ちゃんの側にいる。
浩ちゃんを支えてあげる。
いつまでも――これからも。
私が・・・ずっと・・・
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