第4話 意味
第4話
『意味』


( ガチャッ )

「ただいま」

「おかえり」

台所から返事が聞こえる。
どうやら、今日は調子がいいらしい。

「母さん、体はいいのか?」

「今日は調子いいみたよ」

「ならいいけど」

俺の母は心臓が弱い。
たまに、心臓発作を起こしては苦しんでいる。
そんな姿を見ていると、わからなくなる。
自分は存在する意味はあるんじゃないのか・・・と。

「また、そんな顔をして」

「え?」

「あなたは私にとって大事な存在なのよ。頑張って、・・・を持って」

この言葉。
この言葉が、俺の存在する意味を導き出してくれるような気がする・・・

「…ああ」

母は、俺が考えていることがわかっているらしい。
だから、いつも元気がでるようなことを言ってくれる。
でも、心の底からは元気がでない。
それも母はわかっている。

「さぁ、ご飯ができてるわよ。食べるよね?」

「うん」

俺は『光』を見つけなければならない。
母の為にも、自分の為にも・・・



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