第15話 離別
第15話
『離別』


それは突然だった。
誰が予想しただろうか・・・

母の死。

いきなりの出来事。
俺には理解ができなかった。

『母さんがいなくなる? この世から? 俺の目の前から?』

錯乱しそうになる。
いや、していたのかもしれない。
俺の思考は狂い始めていた。

『なんだ? 何が起きたんだ? 俺は?』

母さんは何処?
母さんは・・・消えた?
存在が消えた?
誰の?
母さんの?

『なくなった? 存在が…、母さんが…』

何も無い俺が・・・
何も無いはずの俺が・・・

『!?』

そ、そんな・・・
俺には何も無いはず・・・
そう思い込んでいた。
だが・・・

『どうして…、どうしてなんだよっ!』

いまさら気づくなんて・・・
無くしてから気づくなんて・・・
俺は・・・俺は・・・

『本当に…』

もう・・・
もう、なにも・・・
なくなってしまった。

本当の『無』になってしまった。




トップへ戻る 第16話へ