第18話 青年
第18話
『青年』


私にとって、あの人は大きな存在。
はじめてできた、大切な友達。
そして、私の彼氏。
それがあの人。

『…えへっ』

彼氏って言うのは、私が勝手に言っていることなんだけどね。
でも、あの人はこんな無茶なことを言っても受け入れてくれた。

ぶっきらぼうだけど優しくて・・・
冷たいようだけど暖かくて・・・
口数は少ないけど面白くて・・・
カッコイイけどモテなくて・・・
小さい胸を好きだと言ってくれて・・・
私の宝物を笑わなくて・・・
子供の私を相手にしてくれて・・・
どんな話も聞いてくれて・・・
顔は笑わないけど心では微笑んでくれて・・

そして・・・

私を大事にしてくれる。

『…くすっ』

そんなあの人を好きになっていく私がいる。
あの人の優しさを知ったとき・・・

『ああ、私はこの人が好きなんだ』

そう思った。
会ってから間もないのに、私は惹かれていった。
あの人の優しさを知る度に、私はどんどん好きになっていった。
あの人の『光』になろうと思った。
勝手なことかもしれない。
あの人にとっては迷惑かもしれない。

『だけど…』

放っておけなかった。
今にも消えそうな光を宿しているあの人を・・・
私は意を決して言った。

『きみの支えになる』

自分でも驚いた。
度胸のない私が、そんな大それた事を言っていた。
でも、あの人は照れながらも受け入れてくれた。
私は嬉しかった。

『ああ、この人の支えになれるんだ』

嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
好きな人の『支え』になれる。
そう考えてだけで、顔が赤くなるのが自分でもわかる。

『きみは私の彼氏だよ』

冗談半分で言った。
戸惑いながらも、あの人は私を認めてくれた。
私は『支え』になれたんだ。
そう思った。
でも、違った。

『お前に何がわかるっていうんだ!?』

そう言ったあの人の眼。
見たことのない『眼』だった。
私はわかっていた・・・
わかっている『つもり』だった・・・
だけど、本当はわからなかった。

そして・・・
あの人は変わった。





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