出会い



《 ザーーーーーー 》

雨…
雨が降っている…

今は夜…そして俺は学校の帰り…
何かある…!
俺のカンがそう言っているっ!!

「…ん?」

なんか…、前にもこんな事があったような……
………デジャビュ?
そんなことを考えながらトボトボ歩いていた…

「にゃ〜ん」

すると、何処からか猫の鳴き声が聞こえた。

「う〜〜ん。やはり、前にもこんな事が…」

「にゃ〜〜ん」

おっと、こんな事を考えている場合ではない。
猫を探さないと…
雨にうたれていたら、かわいそうだからな。

「…どこだ?」

「にゃ〜〜ん」

《 ズデーーーン!! 》

「な、なんだありゃ?」

ね、猫か?
それとも猫のコスプレをした人間か?
う〜〜〜ん。
まぁ、近くに行ってみるか。

《 トットットット… 》

「んにゃ?」

俺が猫(?)の方に歩いていくと、あちらも俺に気付いた。

「にゃぁ〜」

「君は……猫か? それとも人間か?」

俺はいきなり疑問をぶつけた。

「ミミは猫人にゃっ」

「ミミ? 猫人? なんだそりゃ」

「ミミは私の名前にゃ。猫人は種族にゃ」

「な、なるほど〜」

よくわからん。
だが、名前は『ミミ』と言うらしい。

「ミミを拾ってくれるにゃ?」

「えっ?」

「だって、この箱に書いてあるにゃ」

「…なになに」

俺はミミが入っている大きなダンボールを見る。
何か書いてあるな…
『誰か拾って下さい』

「………」

…ん?
まだあるぞ。
『追伸 この子は人間でいうと18歳です。それでナイスバディー! 拾わな損だぜ、お客さん』

「………」

本当に捨て猫か?
人をからかってるんじゃないだろうな?

「本当に捨て猫か?」

「にゃっ、ミミは捨てられたのにゃ」

「う〜〜ん」

拾うの止めようかな…
いやいや、主人公たる者、何でも拾うのが主人公のつとめ!

「俺の家……来るか?」

「にゃ? ミミを飼ってくれるにゃ?」

「まぁ、そういうことだ」

「にゃ〜〜〜ん☆」

ミミが箱から飛びだして、俺に抱きついてくる。
うんうん。
そんなに嬉しいのか……って裸やんけぇー!!

「…ミミ」

「にゃ?」

「君、裸なんだけど…」

「そんなことないにゃ。ちゃんと毛があるにゃ」

「えっ? 毛?」

そういわれてみれば…
よく見ると、普通の猫とまではいかないが、毛があるな。
ちゃんと大事なところも毛で隠れている。
………
それはそれで残念だ。

「…えっち」

「えっ? な、なにを…」

俺の考えていることがバレたのか?
それとも、無意識のうちに声にでてたのか?

「ご主人様、鼻の下がのびてるにゃ」

「ご、ご主人様?」

「んにゃ。ミミの新しいご主人様にゃ」

「………」

ご主人様…
ああ、なんて良い響きなんだぁ〜〜
おらぁ〜、生きててよかっただぁ〜〜

「ご主人様?」

「おっほん。さて、帰るか」

「にゃ? ご主人様のお家に行くにゃ?」

「そうだ」

「うにゃぁ〜☆」

「…っと、その前に」

こいつは雨にうたれて濡れているからな。
このままじゃかわいそうだ。
風邪でも引かれたら困るし…

「ミミ」

「んにゃ?」

「俺の上着でも着るか?」

俺は上着を脱ごうとしたが…

「その必要はないにゃ」

そう言って、ミミは上着の中にもぐり込んできた。

「お、おい…」

《 モゾモゾ… 》

「……ぷはっ」

ミミが上着から顔を出す。

「んにゃ? ご主人様の顔が赤いにゃ」

「え? あはは、気のせいだよ」

肌着越しにミミの体がある。

「………ゴックン」

《 むにむに☆ 》

ミミの胸があたる。
こりゃ〜、かなりのボリュームだな、オイ。
それに、ミミは身長が俺より20cmくらい低いから、上から見ると胸の谷間が見えるんだよなぁ。

「………」

「ご主人様?」

いままでに、こんな良いことがあったか?
俺の人生って、ロクなことがなかったからなぁ…
しみじみ…

「ご主人様ぁ〜」

《 モゾモゾ……むにむに☆ 》

「こ、こらっ…」

そんなに胸を押しつけるんじゃないっ!
嬉しいじゃないかぁーー!!
…じゃなくって、む、息子が…(汗)

「ご主人様ぁ〜〜☆」

《 むにむにむにむに☆ 》

「うおっ!?」

こ、これ以上は………

「んにゃ? ご主人様」

「な、なに?」

「お腹に何かあたってるにゃ」

「そ、それはぁ…」

やべっ、完全にテントを張ってしまった。
俺、絶体絶命大ピーンチ!!!!!!

「ご主人様のここ、膨れてるにゃ」

《 さわさわ… 》

「ちょっ……うっ」

そんなとこ触るんじゃない。
そ、それに撫で回すような触り方はやめてくれぇ〜〜

「…痛いにゃ?」

「そんなことはないけど…」

「どうして膨れてるにゃ?」

「に、人間にはいろんな事があるのさ」

「ふ〜〜ん」

ふぅ、なんとか誤魔化すことが出来た。
今のうちに、さっさと家に帰ろう…

「さて、帰るか」

「うにゃっ、ご主人様の家に行くにゃ」

そして俺達(1人と1匹)は家に向かった。





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