序章『世界−World−』
序章
『世界−World−』
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世界は大きく3つの国に分かれている。
ひとつは西の大陸を占める“ディーセント王国”、名前からわかるように国王が国を治めている。国自体は裕福で、自然が溢れているのが特徴。だが、それはこの世界では常識でどこの国でも自然が満ちている。その中でも抜き出ているのがこの国である。国王は人柄もよく、国民からも信頼を得ているのがこの国の自慢である。
それに対して東の大陸を占めるのは“バルト帝国”である。この国はいわゆる軍事国家。だが、戦争好きなのではなく、自衛のために軍隊を置き、治安を守るのに一躍買っているのは事実である。そのせいか、この世界で一番の治安の良さが認められている。国を治めるのは王ではなく、皇帝である。
残るは2つの国の間にある“共同連合体”と呼ばれる地域である。ここには国王や皇帝はなく、誰もが自由に生活し、様々な生活をしていくのである。そのせいか、少し治安も悪く、闇業者などが存在するのがそれを物語っている。元来、この世界には善悪の区別は薄く、奴隷なども普通に売られている――が、それはいわゆる“雇用”と同じ意味で、期間内の契約で自分の手伝いをさせたりするのが定番なのだが、中には娼婦のように扱ったりする人間も出てくる始末である。世界の規律でそれなりに規則があるのだが、闇業者には知ったこともなく現在に至るのである。
さて、この世界には他に大事なことがひとつある。
それは“資質”と呼ばれるものである。これは誰もが持っているもので、目に見えるものではない。いわゆる才能と言うもので、“ブレイド”=“剣の扱いに優れている者”、“マジック”=“殺傷能力のある魔術に優れている者”、“ヒーリング”=“殺傷能力のない魔術に優れている者”――などなど。この他にも生活に関わる資質などがある。例えば、家事全般に優れている者、商売に優れている者、動物の扱いに優れている者――それぞれの人が何かの資質を持っているのである。それに見合った生活をしていくのがこの世界のルールである。
この世界にも伝説はある。
誰が言ったのかは知らない。いつから言われているのかさえわからない。だが、誰もが知っている。
その通り名だけは誰もが一度は耳にしたことがあるという・・・。
“ブレイドマスター”
年齢はおろか、男か女かさえ知らない。存在そのものが幻のような者に、ひとつの噂がある。
その噂では、背中に大きな“ブレイド”=“剣”を背負っているらしいと・・・。
そんな噂が、ごく少数の人間に広まっていった――。
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