紀伊半島の国道について
 紀伊山地は標高1000m級の山がいくつもあり、険しい山に阻まれたおかげか、極端な観光開発がされることはなく、山々に囲まれた自然豊かな地域です。
 しかし、そこに道路を通すことは極めて難しく、国道でも離合困難な狭い区間が多くあり、土砂崩れ等の自然災害もしばしば発生しています。
 近年はバイパス道路の整備が進み、山間部でも観光バスが通るような主要な国道では概ね快適に走行出来るようになりました。沿岸部では以前より国道42号線が整備されており快適に走行出来る状況にありましたが、平成27年度に阪和自動車道が紀伊田辺ICからすさみ町まで延伸され、大阪方面からのアクセスが大変便利になります。
 ここで紹介出来ているのは、まだまだ僅かなので少しずつ情報量を増やしていきたいと思いますので、今後とも宜しくお願い致します。

紀伊半島 道路網概略図


 和歌山市から紀伊半島を回って鳥羽までを結ぶ国道と思いきや、実は鳥羽から伊勢湾を渡り渥美半島から浜名湖までを結んでいる国道です。

 奈良県十津川村を縦断し沿線の生活・産業・観光を支える極めて重要な国道ですが、以前から紀伊山地の区間では、結構な頻度で土砂崩れ等で工事や通行止が発生しています。その対策として改良工事とバイパスの整備が少しずつ進められています。2011年は豪雨災害が起き、土砂崩れ以外にも十津川村にある折立橋まで流されてしまうなど甚大な被害が出ました。

 奈良県内の区間については改良やバイパスが整備されていますが、瀞峡のバイパスの前後区間については、1車線の区間が続きます。北から進むと、途中で国道309号線が合流して重複区間があったり、また分かれて今度は168号線に合流したりと地図上で国道の番号だけ追っかけているとルートそのものは少し複雑です。

 五条から天川村まではバイパス等が整備されており走りやすいですが、天川村から169号線の合流地点まではほぼ1車線で、離合も困難な区間も多くある他、標高1000m以上の山を越えるハードなルートです。標高が高いせいもあってか、この区間は冬季通行止めになります。

 和歌山県田辺市と三重県熊野市を紀伊半島の南部を東西に横断して結ぶ国道で、紀伊半島を縁取りしている国道42号線のショートカットコース的な存在です。田辺市から国道168号線と合流するまでの区間は、改良工事やバイパスの整備が完了しており走りやすいというより、スピードの出し過ぎに注意が必要なぐらいです。

 橋本から高野山を通り温泉で有名な龍神村へと続く国道で、龍神村から南へも国道371号線があるのですが、未整備区間が存在するため1本には繋がっていません。それどころか未整備区間を解消するために工事が続けられていたバイパス(龍神四バイパス)が建設途中で事業が凍結されてしまい、もう1本に繋がることは無さそうです。しかし、この建設凍結となったバイパスがある未整備区間の西側には、平行するように2車線の立派な県道が存在する他、未整備区間も林道経由であれば何とか走り抜ける事が出来るので、事業の凍結は当然と言えばそうなのかもしれません。

 有田市〜龍神村の区間については観光ルートになっており、バイパス整備や道路改良が進み2車線の区間が続きます。
 大阪方面から龍神温泉へ行く場合は、阪和自動車道の有田インターから県道を経て国道424号線を通って向かうのが一番早く行けます。もちろん有田インターから龍神温泉(龍神)への案内標識がいくつもあり、カーナビが無くても迷わずに行けます。
 しかしこの有田〜龍神以外については、1車線の区間も多く、観光ルートというより生活道路のような存在です。

 紀伊山地最強の酷道で、日本国内でも屈指の難関コースです。しかし、沿線に集落がいくつもあり、貴重な生活道路でもあります。それでも、離合の為に数十メートルバックするとかは当たり前で、断崖絶壁なのにガードレールがないとか、「転落死亡」の標識があったり、その辺の国道とは全く違う国道です。またこの国道も結構な頻度で土砂崩れや路肩崩壊が起きており、運が悪いと復旧工事の関係で出入りしているダンプカーに何度も出くわす事になります。
 ほぼ年中どこかが災害で通行止めになっていると思った方がいい国道です。