第5話『実はお隣さん』
第5話
『実はお隣さん』


時間がお昼を指しはじめた頃。
欲望に忠実な俺の僕1号(2号は秘密☆)が雰囲気を壊すため、地下で蠢きはじめた・・・。

ぐぅ〜〜!!

そして爆発。
爽やかなまでに響いた音は、静かなこの場で華麗に広がった。
その音が隣の女の子に聞こえたのは言うまでもない。

「くすくす」

「はは、腹が減ったなぁ」

「くすくす……はい、そうですね」

さーて、そろそろ旅館に戻るとするか。
俺は昼飯も予約しておいたので食べることができるのだ。

「俺は旅館に戻るが…」

「え? 旅行者の方だったんですか?」

「ああ。言ってなかったっけ?」

「はい、全く」

そうか、言ってなかったか・・・。
そう言えばそうだったような。

「私と同じですね?」

「そっか」

この女の子も旅行者なんだ。
どうりでこんなところにいるワケだよな・・・地元の人間は見たことないし。

「もしかしてとってある旅館は……アレか?」

俺は後ろにある名前通りの旅館を指さした。
女の子は俺の指の先に眼をやると、コクリと小さく頷く。

「あの『閑古鳥』という旅館です」

「…って、ここら辺ではアレしかないよなぁ」

「そうですね」

どうやらこの女の子は同じ旅館の客だということが判明した。
意外や意外、蓋を開けてみるとビックリだな。

「んじゃ、一緒に行くか?」

「はいっ」

そして俺達は本当に閑古鳥が鳴いている旅館に戻った。

………

「いったん部屋に戻るか?」

「そうですね。それじゃぁ…」

女の子はパタパタと小走りで去っていった。

旅館に着くまでにいろいろと話していて、お互い独り旅ということがわかった。
そして流れで一緒に昼飯を食べることになったってワケ。

それより何より驚いたのが、彼女の部屋。
聞いてみたらなんと俺の隣。
今まで気づかなかったのが不思議なくらいだ・・・。




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