第10話『最後の朝』
第10話
『最後の朝』


ザァァァァァァァ〜〜!!

外から心地よい波の音が聞こえる。
自然の目覚まし時計に起こされると、俺は布団からでて伸びをした。

「う〜〜〜ん! さーて、今日で最後か…」

この突然思い立った旅行も今日で終わり。
明日から仕事があるので、早めにここをでなくてはならない。
またあの道のりを帰るのかと思うと気が重いと感じるのは気のせいか?

「ふぅ、朝飯食ったら帰るとするかねぇ…」

わかってはいるのだが、やはり気が重い。
毎日毎日、仕事をして、飯食って寝て、また仕事して・・・。
あの日常が戻ってくるのは正直嫌だ。
不満というより、そんな現実を生きたくなくなった。
そんなことだけしかない今を、捨てたくなった。
どうでもよくなった・・・生きる意味が無いと思った・・・。

それは今も変わらない。
何も変わらず、あの日常に戻る・・・。

「結局、なーんにも見つけられなかった…」

それだけが心残り。
この旅行で何かヒントでも見つけたかったのだが、それも無理だった。

「……このまま人生でも捨てるかねぇ〜」

マジでどうでもよくなってきた・・・。
でも、俺は捨てることができない。
そんなことをしている自分が馬鹿馬鹿しくて、それこそどうでもいいことだ。

「愚痴ってないで飯でも食って帰ろう…」

重い足を引きずりながら食堂に向かった・・・。

こうして旅行最後の日が始まった。
はたして俺はこのまま何も見つけられないまま帰るのだろうか・・・?




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