第3話 出会い2
第3話
『出会い2』


「あの…」

「………」

「もしも〜〜し」

「…えっ?」

ふと我に返る。

「私の顔になにかついてますか?」

「…どうして?」

俺は女の子の言っている言葉の意味が理解できなかった。

「いえ、私の顔をじっと見てましたから…」

「………」

俺としたことが、何をやってるんだ…
琴美が生きてるわけないじゃないか…
………
それにしても…

「…えっ?」

俺は女の子の顔をマジマジと見つめた。

「………」

「あの…その…」

声は違うが、顔はそっくりだ。
声を出さなかったら、本人と区別だつかないくらいだ…

「………」

「…うぅ」

女の子は顔を赤く染めてうつむいてしまった。

「あっ…、すまない」

俺は自分のしてることに気づき咄嗟に謝った。

「…い、いえ」

「………」

「………」

う〜〜ん、空気がわるいな…
何か言わないと…

「いや、そっくりでさ…」

「えっ?…そっくり?」

女の子は顔を上げて、俺の方を見る。

「ああ。キミが俺の知っている人にあまりにも似ててさ…」

「知っている人に?」

「まぁな…、それでついじっと見てしまったんだ」

「そうでしたか…」

………
ふぅ、場の空気も和んだことだし、俺は行くとするか。

「…じゃあな」

俺はそう言って去ろうとしたが…

「あ、あのっ…」

「…ん?」

女の子に呼び止められてしまった。

「先輩…ですよね?」

「…?」

先輩?…ということは、この子は1年生か…

「キミは1年生か?」

俺がそう聞いてみると…

「はい。1年生です」

そう答えた。

「…そうか」

まぁ、俺にとってはどうでもいいことだが…
………
さて、もう行くか…

「…じゃあな」

「えっ?…あ、あの…」

女の子は何かを言いかけたが、俺はそれを気にとめることなく、その場を去った。

別にもう関わることもないだろう…
俺はこのときそう思っていた。
しかし、これから先、この女の子とは何度も出会うのだった…




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