第11話 明かされる事実2
第11話
『明かされる事実2』
ガラガラ
保健室に入ると、美夜が俺に気づいて声をかけてきた。
「……先輩」
「…大丈夫か?」
俺はベッドに横たわっている美夜に声をかけた。
「先輩……私…」
「…なんだ?」
「私……弱いんです」
「弱い?」
弱いって……どこがだ?
「心臓が……弱いんです……」
「!?」
心臓が弱い……だって?
「先輩?」
「嘘……だろ?」
「えっ?」
「心臓が弱いって……嘘だろ?」
「………」
美夜も……心臓が弱いなんて…
「どうして……なんだ?」
俺の声は震えていた。
「…先輩?」
「琴美だけでなく……美夜までもが……なぜだっ!?」
「……琴美?」
「なぜだ……なぜなんだっ!!」
俺は我を忘れて叫んだ。
「琴美に続いて、美夜まで失うのかっ…!?」
「先輩っ! しっかりしてっ!!」
叫ぶ俺に美夜が抱きついてくる。
「……美…夜?」
「先輩……せん…ぱい」
「………」
ふと我に返る。
「せんぱい……せんぱい…」
「美夜……すまない」
「ぐすっ……いいんです。先輩が元の先輩に戻ってくれたから」
「………」
「…先輩」
「ん?」
「琴美さんって…」
「ああ。琴美も君と同じ……心臓が弱かった」
「……!?」
そう…、琴美も心臓が弱かった。
そして琴美は……
「琴美は………くっ」
俺の目から涙が零れる。
どうして……今になって……涙が出るんだ。
「せん……ぱい」
もう、とっくに涙は枯れたはずなのに……
「琴美さんは先輩にとって大事な人だったんですね」
「……ああ」
「………」
「琴美はもう……」
俺は言葉に詰まった。
だが、俺が言おうとした先のことを美夜が言った。
「……亡くなったのですね」
「……ああ」
落ち着いて答えるが、俺の目から涙はまだ止まらない。
「先輩……もう泣かないで……」
美夜はハンカチで俺の涙を拭こうとしたが、そのとき自分も涙を流していることに気づく。
「あ…あれ?」
「………」
「どうしたんだろう? 涙が…」
「…美夜」
俺はそっと美夜を抱き寄せた。
「せん……ぱい……ぐすっ」
「………」
「私ってダメですね。先輩を慰めようとして、先輩に慰められるなんて……」
「気にするな」
「…はい」
俺は美夜が落ち着くまで抱きしめていた。
そして、美夜が落ち着いたときは俺も涙が止まっていた。
「琴美さんって……どんな人だったんですか?」
美夜がそんな質問をしてきた。
「あっ、その……喋りにくいのだったらいいんですけど……」
「いや、そんなことはない」
「………」
「そうだな……琴美は……」
俺は琴美のことを語りだした。
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