5号湾岸線の魚崎浜付近から7号北神戸線の有馬口を結ぶ路線構想です。構想図によっては湾岸線を経由して、六甲アイランドを南北に貫いて第二湾岸線にまで構想路線が延びています。構想自体は昭和40年代からあり、当時から7号北神戸線(計画当初は背山道路と呼ばれていました)から3号神戸線・5号湾岸線を結ぶという基本的な形は決まっていました。しかし、湾岸線や北神戸線、阪神高速ではありませんが本州四国連絡橋(明石海峡大橋)の事業の具体化が優先されていた事情もあってか、構想の具体化に向けた動きがあったのはそれらの事業がある程度具体化が進んだ1980年代後頃です。この頃は神戸市内の山陽自動車道や湾岸線などの事業主体やルート等が決まった頃でもあり、それらの路線を結ぶものとして次の段階でもある東神戸線構想も連なって動き出したような雰囲気があります。
その後、近畿地区幹線道路協議会で湾岸線との接続位置などの議論を進めるなど具体化へ向けて動いており、実際、5号湾岸線の魚崎浜出入口には東神戸線への接続を考慮したかのような延伸可能な構造で出入口が作られています。平成10年には地域高規格道路の計画路線にも指定されいます。
しかし、決定ではないものの事業主体として考えられていた阪神高速道路公団は、1兆円以上の総工費を要した湾岸線が神戸から関空まで開通した後も、数千億規模の路線計画を複数抱えており、財政的にも厳しい状態である為にこの東神戸線の具体化への課題となっていました。
その為、神戸市の1998年12月の「平成10年決算特別委員会」では当時の神戸市助役より「阪神高速は非常に新規路線について非常に採算性とか,そういうことで厳しい状態にございますので,やはりこれはステージ施工ということを今後考えていく必要があるんではないか。」と述べた上で「ご指摘のいわゆる3号神戸線の渋滞対策,あるいは43号の環境対策ということで,東神戸線のうちの湾岸線と3号神戸線の間を先につくるということが,非常にこれは有効なことではないかと思って,我々もそういう方向でいろいろ協議を進めております。」と答弁されており、恐らくは現在の「東神戸渡り線」に相当する路線を先に整備する方向で検討している主旨の発言がありました。
そんな中、阪神高速道路公団の民営化や、神戸市での幹線道路構想の見直しもあり、「東神戸線」構想は南北軸の容量は確保出来ている等の理由で不要という判断をされて現在に至っています。ですが、「東神戸渡り線」について現在も神戸市で構想路線として残っており、僅かながらですが開通の可能性を残しています。
◆東神戸線 位置図
↑5号湾岸線よりも北側だけではなく、南の第二湾岸線との接続も検討されていました。
前述の通り、東神戸線の南端にあたる部分で、3号神戸線と5号湾岸線を結ぶ渡り線です。湾岸線の魚崎浜出入口には延伸可能な構造が残されているので、ここから延伸して北上して3号神戸線へ接続するものだと推測されますが、両路線の間には工業エリアだけでなく住宅地もあり、高架道路を建設できそうな幅広な幹線道路もありません。3号神戸線には元から分岐線等を考慮した構造物や先行取得した用地はなく、渡り線のジャンクションを作ろうとすると用地買収が必要です。このように、現状では建設するには大きな課題が多く、周辺住民からの理解を得られたとしても、建設するには本線ではない「渡り線」にしては相当な事業費が予想され、事実上不可能に近いと言えます。
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