京阪連絡道路(第三京阪道路)
区間 |
久世橋(阪神高速道路久世橋線)〜摂津市(近畿自動車道)〜西淀川区中島(阪神高速道路5号湾岸線)
約50km
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出入口 |
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総工費 |
1兆円程度
(「京都高速道路建設誌 歴史と未来を貫く平成の都大路」(2010年1月発行)P1-7 第3章 3.3京阪間の交通状況と京阪連絡道路より)
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路線概要
名前の通り京都と大阪を結ぶ道路として昭和60年頃から検討されたもので、大阪側は阪神高速道路5号湾岸線の中島付近から神崎川沿いに計画された神崎川線を通り、京都側では現在も計画区間として残っている久世橋線の久世橋に接続する予定でした。全長約50km、総事業費は概ね1兆円程度と見込まれていました。正式名称ではないようですが「第三京阪道路」とも称されていたようです。第二京阪道路の事業主体が日本道路公団に決まった昭和60年頃に検討が始まった路線で、当時は阪神高速道路公団で整備する方針でした。
起点終点以外は、細かいルートや経由地ははっきりした資料がないので分からないのですが、京都側は久世橋から西へ進み、京都縦貫自動車道を越えてから南にに向き変えて名神高速道路の高槻第一JCTの東側から南へ抜けます。高槻付近からは以前計画のあった阪神高速大阪高槻線計画と同じようなルートを通るようで、東海道新幹線や安威川沿いに進んで近畿自動車道と接続し、そこから大阪市内へ進み、豊中市で阪神高速道路神崎川線と接続するようです。
◆京阪連絡道路 概略図
※上記の図は主に 「第3回 京都市京都高速道路検証専門委員会」の資料記載の京阪連絡道路のルートを元に作成しておりますが、資料によって経由ルートが異なるものがあります。
近畿地区幹線道路協議会での動き
計画の具体化に向けては、近畿地区幹線道路協議会で検討が重ねられてきたようで、「幹線協の二十年」に記載されていた主な動きは下記の通りです。
◆昭和60年2月 近畿地区幹線道路協議会 構想部会 「京阪間における幹線道路網の計画」
・淀川右岸地域の幹線道路の検討が必要となり、新たな幹線道路網の検討を進める事が合意。
◆昭和60年6・7・10月、昭和61年2・3月 構想部会 「京阪間における幹線道路網の計画」
・交通需要予測を行い、京阪連絡道路の必要性、機能の検討
・京阪間のネットワークパターンの検討、導入空間についての検討
◆昭和61年5・6月 近畿地区幹線道路協議会 構想部会 「京阪間の幹線道路網計画について」
・京阪連絡道路の整備の必要性、機能と役割、整備規模等について中間報告。
・大規模事業計画調査等を通じて計画熟度を高める事が了解された。
◆昭和62年16月 近畿地区幹線道路協議会 計画調整部会 「京阪連絡道路について」
・計画調整の急がれる京都府側の京阪連絡道路についてルート、接続の計画調整が図られた。
◆昭和62年6・11月 近畿地区幹線道路協議会 構想部会 「京都市お呼び周辺地域幹線道路網の検討」
・京阪連絡道路と京都高速を接続した場合の計画交通量の検討。
◆昭和62年11月 近畿地区幹線道路協議会 計画調整部会 「京阪連絡道路について」
・京都高速、京都第二環状道路計画に関連して、計画の急がれる京都市(久世橋)〜摂津市(近畿道)間について、ルート、接続計画の調整。
・近畿道以南についても、作業部会を設けて導入空間の検討が行われた。
◆昭和63年4月 近畿地区幹線道路協議会 計画調整部会 「京阪連絡道路について」
・久世橋〜近畿道のルート、接続計画等の調整。
・近畿道以南の大阪市域についても導入空間の検討が行われた。
※「幹線協の二十年」より抜粋
構想の背景
京都高速道路建設誌の記載によると、この京阪連絡道路の構想の背景にはいろいろあったようで、阪神高速道路公団に京都を加えて『京阪神高速道路公団』に改組して都市高速道路として第二京阪道路の建設を求める動きが大阪や京都の自治体にあるなか、日本国内の幹線道路ネットワークとして第二京阪道路を建設をする建設省の方針もあり、結局は日本道路公団が第二京阪道路の事業主体に決まり、京阪間の都市高速道路については「京阪連絡道路」を阪神高速道路公団で行う方針になったようです。ただ、当時は道路公団民営化が検討される前でしたので、現在は阪神高速道路として建設されるかは未定です。
構想の実現性
実現は非常に困難というより、皆無と言っていいと思います。特に、見込みでも1兆円程度の総工費がかかると想定されていますが、数千億円の都市高速道路計画でさえも実現が非常に困難で、国の大幹線である新東名高速道路や新名神高速道路でさえも工費を抑えて暫定4車線で建設される現状では、このような巨額な総工費で京阪間に3本目の高速道路が建設される理由がありません。しかも、大阪側で京阪連絡道路の一部として計画されていた阪神高速道路神崎川線は計画が消滅しています。
また、構想が具体しない理由として平成8年の大阪府議会の「平成8年9月定例会 土木建築常任委員会議録」に、ある議員さんの発言がありました。それによると具体化しない理由として
・大阪市内に受け皿となるネットワークがない
・有料道路としての採算性が難しい
その他にも解決すべき問題が多々あると伺っているという議録があり、構想に携わっている行政の担当者から聞かれたものを発言されいるのだと推測されます。これを見るだけでもう実現性が限りなく低いという事が分かります。
ただ、京阪連絡道路は今も地域高規格道路の候補路線としては残っているようで、残り未開通の3路線(久世橋線・堀川線・西大路線)について検証を行っている京都市京都高速道路検証専門委員会では、この京阪連絡道路と接続した場合(京都市内から京阪連絡道路を通り、摂津からは近畿自動車道と守口線を経由して大阪市内へ至るルート)についても検証が行われいます。
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