阪神高速道路 8号京都線 <2017/01/15更新>
区間 |
平成31年度に第二京阪接続部〜鴨川西がネクスコ西日本に移管され、鴨川西〜山科は京都市に移管されま、8号京都線自体が阪神高速道路の路線ではなくなる見込みです。
現在の開通区間は「阪神高速道路8号京都線」という一つの路線としての名称になっていますが、建設段階から部分開通までは油小路線(鴨川西〜上鳥羽は油小路線斜久世橋工区と呼ばれていました)、稲荷山トンネルの山科〜鴨川東は新十条通という名称で呼ばれていました。
◆油小路線区間
京都市伏見区深草(鴨川東出入口付近)〜京都市伏見区向島(第二京阪道路接続部)
◆新十条通区間
京都市伏見区深草(鴨川東出入口付近)〜京都市山科区西野山(山科出入口)
◆堀川線<南行き一方通行>(未開通)
京都市下京区高辻〜京都市伏見区竹田
◆久世橋線(未開通)
京都市伏見区竹田〜京都市南区久世
◆西大路線<北行き一方通行>(未開通)
京都市右京区西院〜京都市南区上鳥羽
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出入口 |
◆油小路線区間
伏見出入口
城南宮南出入口
城南宮北出入口
上鳥羽出入口
鴨川西出入口
◆新十条通線区間
鴨川東出入口
山科出入口
◆堀川線<南行き一方通行>(未開通)
堀川五条入口
堀川八条入口
◆久世橋線(未開通)
吉祥院出入口(久世橋方面)
石原入口(山科方面)
◆西大路線<北行き一方通行>(未開通)
西大路十条出口
西大路七条出口
西大路五条出口
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総工費 |
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路線概要
◆8号京都線(油小路線区間・新十条通区間)
京都市で初めての都市高速道路で、平成20年1月に上鳥羽出入口〜第二京阪道路接続部が同年6月に山科出入口〜鴨川東出入口が開通した。当初は二区間に分かれていましたが、平成23年3月に鴨川東出入口〜上鳥羽出入口が開通して一本に繋がりました。第二京阪道路と直結しているため、京都の市街地と大阪方面を結ぶ重要なルートとなっており、名神高速道路の京都南ICと比べると、8号京都線は少し京都市街地の中心寄りに出入口がある為、京都駅や市街中心地に向かう場合は大変便利です。
現在は山科から稲荷山を抜けて伏見区から第二京阪道路を結ぶ路線のみですが、上鳥羽出入口付近にジャンクションを設けて久世橋方面へ抜ける久世橋線、久世橋線から北へ分岐して西大路五条へ至る北行き一方通行の西大路線、堀川五条から上鳥羽に至る南行き一方通行の堀川線の計画があります。途中で交差する名神高速道路ともジャンクションを設ける計画がります。なお、上鳥羽〜鴨川東は暫定2車線で整備されていて、地方の高速道路などで見られるようなセンターラインをポールで仕切った対面通行区間となっています。
◆堀川線<南行き一方通行>(未開通)
未開通の路線で、計画が凍結状態にあります。南行き一方通行の路線で、ルートは国道1号線の堀川五条から堀川通を南へ進み、現在の8号京都線上鳥羽入口に至る計画です。途中には堀川八条入口が設けられる予定です。堀川五条入口は、ダイレクトに堀川五条交差点に繋がるわけではなく、国道1号線側は交差点の東寄りに入口が、堀川通側は交差点の北側に入口が設けられ、交差点の地下で2方向の入口が合流して本線になるような構造となっています。
都市計画決定済みの路線で、京都市の都市計画図にも記載されています。
◆久世橋線(未開通)
未開通の路線で、この路線も計画が凍結状態にあります。8号京都線の上鳥羽出入口付近にジャンクションを設けて、久世橋通を西へ進み、桂川を渡り久世橋出入口に至る路線です。途中には堀川線と対となる北行き一方通行の西大路線とのジャンクションが設けられる他、吉祥院出入口(久世橋方面)、石原入口(山科方面)が設けられる計画です。久世橋出入口からさらに西へは淀川北岸から大阪方面へ伸びる地域高規格道路「京阪連絡道路」の構想があり、久世橋線はその受け皿的な役割もある路線です。
久世橋線は都市計画決定済みの路線で、京都市の都市計画図にも記載されていますが、京阪連絡道路については都市計画未決定の構想段階の路線の為、都市計画図への記載はありません。
◆西大路線<北行き一方通行>(未開通)
未開通の路線で、この路線も計画が凍結状態にあります。西大路線は南行き一方通行の堀川線と対となる北行き一方通行の路線です。久世橋線の西高瀬川付近にジャンクションを設けて北へ分岐し、高瀬川沿いを高架で進み、十条通と交差する南側で地下構造になります。この地下に入る付近には西大路十条出口が設けられる計画です。地下へ入った後は西大路通りを北へ進み、途中に西大路七条出口が設けられ、国道9号線と交差する付近に西大路五条出口が設けられる計画です。西大路五条出口も堀川線の堀川五条入口と同様に、交差点にダイレクトに出口が設けられるわけではなく、国道9号線側は交差点の東に出口が、西大路通側は交差点の北側に出口が設けられます。
◆京都市内 阪神高速道路網概略図
久世橋線、堀川線、西大路線について
平成31年度に8号京都線がネクスコ西日本と京都市に移管されることになり、まず『阪神高速道路』の路線ではなくなる可能性が高くなってきました。
以前よりこの3路線については、京都市で「京都市京都高速道路検証専門委員会」を設けて検証を行っていましたが、結局のところ必要性はある程度認めているような提言を出しつつ、「京都市において、長期的にわたって事業着手が見込めない状況に変わりはない。」(京都市京都高速道路検証専門委員会の「京都高速道路堀川線、久世橋線及び西大路線の機能及び効果等に関する検証結果に基づく意見書」より抜粋)とされており、『必要ですがお金がないので作れません』と言って終わっています。本来はここからどうすれば財政的に可能な案になるのか、道路規格の変更など実現に向けて検討すべき点があるかと思いますが、その方向に向いていないようです。
そして、平成31年度の8号京都線の移管です。これは京都から阪神高速道路が無くなるという事なので、恐らく京都府と京都市が阪神高速道路から抜けること(京都府と京都市は阪神高速に出資しており株式を持ってますのでこれを手放す事)になります。
都市高速道路の組織は主にその管理する道路から徴収した通行料金で管理・維持、そして新路線の建設を行います。その管理する道路ネットワークが大きいほどコストもかかりますが徴収出来る金額も大きくなり、より新路線の建設も可能になります。都市高速道路の建設で必要な特有の技術や経験等もありますので総合的に見て都市部のバイパス道路の建設に向いた組織です。例えば阪神高速道路17号西大阪線は国道43号線の高架道路として計画されていましたが、建設費が高く当時の大阪市の財政状況や早期完成が必至だった事もあり、少ない予算を毎年つぎ込んで長年かけて作らず、阪神高速道路の路線として早期に建設されました。
近年は高速道路の地下化が一般化しつつあり建設費が高く、17号西大阪線のようにはいかない状況で、建設費は都市高速道路組織だけでなく一定割合を自治体負担するようになっていますが、それでも都市高速道路の組織と折半するようなものなので単独で建設するよりは財政的にも有効な手段です。都市高速道路組織も全国的ではなく地域限定の組織のため、そのエリア内での必要性に合わせて建設着手の優先順位がつけられますので、早期に着手されることもあります。
このたび有料道路として残る区間がネクスコ西日本に移管されますが、未整備の3路線については廃止される見込みです。京都市はニュース記事などの情報ではありますが、国に代替案として直轄事業で堀川五条〜油小路十条に地下トンネルのバイパス整備を要望していようです。それなら、湾岸線西伸部や淀川左岸線延伸部のように阪神高速が国の直轄事業として建設する路線にした方が、国+自治体に加えて阪神高速道路も負担をするので、事業費を出す財布が増えて有効だと思いますが、それなのに阪神高速から抜けてしまうあたりが不可解なところです。もしかしたら抜けずに何か別の方法で策があるのでしょうか。
それにしても京都の道路行政はどこへ向かっているのかと不安になる状況に変わりはありません。
久世橋ジャンクションと名神高速道路とのジャンクションについて
上鳥羽出入口付近に久世橋ジャンクションを設けて、堀川線、久世橋線と接続する計画があります。その為、上鳥羽出入口付近は久世橋ジャンクションの接続路を追加で設置出来るように本線が作られており、分岐路や合流車線の分を増設出来るような構造(例えば将来拡幅予定の箇所は桁や橋脚が増設出来るように溶接可能なような加工を施し、ボルト添接の孔明けがされているようです)になっています。かつての阪神高速道路公団であれば、将来計画の分岐線についても分岐する部分や合流車線なども本線建設時に一緒に作られる事が多かったのですが、この久世橋ジャンクションではコスト削減の為、しばらく不要となる将来的な準備部分は作られる事はなく、パッと見では本線がストレートにあるだけで、どこに分岐が作られるのか分からなくなっています。
また、この久世橋ジャンクションのすぐ南では名神高速道路とのジャンクションを設ける計画がありますが、こちらの分についても久世橋ジャンクションと同様に追加車線用の桁や橋脚の増設・改良が出来るように考慮されています。位置が近い為、久世橋ジャンクションの分岐路に繋がる本線拡幅箇所がそのまま名神高速道路とのジャンクションの分岐路に繋がる構造になるようです。
左の図は久世橋ジャンクションの簡略図です。
施工済み(現在開通済みの箇所)は水色で、
未施工の箇所は灰色
で示しています。
京都高速道路建設史(2010年1月発行)のP3-53 図4.1.6将来計画路線概要図を参考に作成しました。
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久世橋ジャンクション簡略図
<☆★☆訂正☆★☆>
上の図では久世橋線⇒第二京阪方面の渡り線が本線をオーバーパスしていますが、調査を進めていたところ、本線をアンダーパスする構想だと言う事が分かりました。また、上鳥羽入口も一部が堀川線の本線になり上記図よりも拡幅されます。とりあえず、文書にて訂正申し上げます。上記図についてはいずれ訂正致します。
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久世橋JCTと京都南JCT位置図
久世橋ジャンクション車線予想図(クリックすると別画面で拡大図が出ます)
↑推測される車線や立体交差の分りそうな図を作成しました。(フリーハンドで描いたので雑ですがご了承下さい)
立体交差の状況について参考にしたのは、「明日の近畿 プロジェクト概要(新近畿創世(すばる)推進委員会-近畿開発促進協議会-発行)」に掲載されていた久世橋JCTの模型の写真で、車線の割り振りは主に京都高速の建設誌を参考に推測しています。他にも京都市の都市計画地図を参考にしています。
京都南大橋上の久世橋JCTと京都南JCT用拡幅予定部分の現状画像
↑8号京都線山科方面行き高架(第二京阪方面(南)を向いて撮影しています)
拡幅出来る様に準備されています。
↑8号京都線第二京阪方面行き高架(京都駅方面(北)を向いて撮影しています)
山科方面の高架よりも広く拡幅出来るようになっています。
↑8号京都線第二京阪方面行きの京都南JCTの分岐部分
高架の桁を増設出来る様に橋脚に準備箇所があります。
暫定2車線区間の4車線化について
鴨川東〜上鳥羽は暫定2車線の対面通行となっており、完成時に上り線(山科方面)となる車線を上下線で共用している状態です。前述の採算性の問題によるコスト削減の為で、予想される交通量から暫定2車線での整備となりました。
暫定とは言うものの、鴨川西の入路については完成時には下り線に接続されるものが、暫定共用のために完成時の上り線にそのまま接続されています。他の高速道路等の暫定2車線共用区間では、インターチェンジや接続路の部分だけは、完成時の幅(4車線)で路盤や高架道路を建設している事が多く、ラインの引き直し等の短期間の工事で4車線化が図れるようになっている事が多いのですが、鴨川西入路については、4車線化時には上り線へ直接繋がっている桁の撤去など、長い期間鴨川西入口を封鎖しての工事が必要となりそうです。
しかし、現状では交通量が大きく増加する要因がなく、山科から東への延伸や、久世橋線等の建設でもなければ暫定2車線のままとなりそうです。
注意
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