湾岸線8期区間の駒栄JCT〜駒ヶ林南は前の区間から続く高架道路となりますが、駒ヶ林南〜名谷JCTはほとんどがトンネル構造です。駒ヶ林南〜名谷JCTについては湾岸線「8期区間」として、今回2016年事業化が決定した区間よりも早く既に平成6年9月に都市計画が決定していますが、現在は計画の進捗がみられていない状況で、事業化の見通しは未定状態です。この区間のさらに向こうというか延長上にある第二神明道路北線(神戸西バイパス)のさらに西で、「播磨臨海地域道路」という道路が構想中です。
この「播磨臨海地域道路」は名前の通り明石市、加古川市、姫路市の播磨の臨海地域を通る道路で、道路の性格でいうと臨海工業地帯を結ぶ為、阪神高速道路湾岸線に近いものです。エリアに絞るとこの道路は文字通り播磨地域の道路でしかないですが、大阪府〜兵庫県という単位で見ると、泉州〜大阪〜神戸〜播磨という大阪湾の南から播磨灘を結ぶ一直線の巨大ネットワークを形成できるため、かなりの将来性を有していると言えます。また並行する第二神明道路や加古川バイパス、姫路バイパスは渋滞が頻発しており飽和状態なうえ建設から40年以上経っており、改修工事等を考えると、近い将来それらを代替するルートの候補として挙がる可能性があります。
2016年の3月にやっと新規事業化が決定した阪神高速道路湾岸線西伸部(六甲アイランド北〜南駒栄JCT〜駒栄)ですが、この計画は決してここ10年程度の間に構想されたものではありません。今から40年以上前に既に構想があり、昭和47年にはその原形とも呼べるルートが導き出されていました。その昭和47年当時は、現在の31号神戸山手線の原形である「山手線(資料によっては阪神山手線)」という路線が阪神間の山手沿いに東西に通り、さらにその南に現在の3号神戸線(正確にはその原形となる路線)、そして海側には計画されていた埋立地を結ぶ現在の湾岸線が計画され、この3本の路線で阪神間を結ぶ予定でした。
無論、この計画は予定通りには行かず、まともに開通できたのは現在の3号神戸線のみで、湾岸線は開通出来たものの神戸市内の入口付近で途切れた状態のままで現在に至り、阪神間の自動車交通の大きな問題となっています。
(山手線が現在の神戸山手線のような南北の路線になった経緯は
当サイトの「31号神戸山手線」の項目を参照下さい)
湾岸線の初期構想で近畿地区幹線道路協議会で行われていた検討は下記の通りです。
(「幹線協の二十年」より概ね抜粋して記載しています)
・昭和44年9月 近畿地区幹線道路協議会計画調整部会
湾岸道路の性格と交通需要、幅員、構造、ルート、さらに第二湾岸道路(恐らく後の第二湾岸線と推測されます)を前提に考えるから1本で考えるか問題点が提起されました。
結果、当面は湾岸道路は第1線(現在の湾岸線)を対象に検討、神戸西部は須磨付近で国道2号線へ暫定的に取り付け、延伸部は次期構想として検討する事が決まりました。
・昭和47年10月 近畿地区幹線道路協議会計画調整部会
これまでに、現在の阪神高速道路7号北神戸線の原形である背山道路や山陽自動車道についてもルート等が検討され、阪神山手線(現在の31号神戸山手線の元の計画)に係わる調整で、神戸市付近の道路パターン図が示されています。そしてこのパターン図が現在の神戸市近郊の道路計画の原形となっています。
下記は昭和47年10月の近畿地区幹線道路協議会計画調整部会で示されたパターン図を元に現在の整備状況を加えて図にしました。
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