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 母に愛されぬ孤独とアル中に悩みながら、哀愁漂うパリの風景を描き続けた画家 ユトリロ モーリス・ユトリロ  Maurice Utrillo フランス (1883-1955)
  モーリス・ユトリロは1883年12月26日、パリのモンマルトル地区で私生児として生まれました。父親は不明。 母親は、お針子やサーカスの芸人などを経て、ルノワールやドガ、ロートレックの絵画モデルとなり、のちには画家となるシュザンヌ・ヴァラドンです。 彼女と交際のあったスペイン人ジャーナリスト、ミゲル・ユトリロ・イ・モルリウスが息子として認知し、 以後モーリス・ユトリロと名乗ります。 母ヴァラドンは数多くの恋愛遍歴や作品の制作で忙しく、息子ユトリロは祖母の手に委ねられました。  母にかまってもらえない孤独から、ユトリロは若くしてアルコール中毒に陥り、その治療のために絵を描き始めたのがきっかけになったといいます。 
 1910年から1915年頃は「白の時代」と呼ばれる、ユトリロの最も評価の高い時期です。 私生活では母ヴァラドンがユトリロの友達アンドレ・ユッテルと結婚し、邪魔者扱いされ酒に溺れますが、街路や教会の壁などを微妙な色合いを含んだ白で塗り、変化に富んだマチエールで孤独と憂愁が漂う詩情あふれる傑作の数々を産出します。 ユトリロの絵が最も充実した時代となります。 その後、明るい色彩を用いた華やかな「色彩の時代」を経て、同時代の芸術動向とは無縁のまま、知的で静謐な独自の画境を確立し1955年に71年間の生涯を終えました。 
         ◇作品紹介  
 
 
         
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               ユトリロ「ラ・フェール風景」 ユトリロはアトリエの傍に小さな礼拝堂を作り毎日制作が終ると守護聖女のように考えていたジャンヌ・ダルクの彫像の前で祈り、夢想し、思い出にふけっていました。この絵も記憶によるか絵はがきをもとにアトリエで描かれたようです。簡潔で清澄な表現が魅力です。
 所蔵 個人蔵 サイズ (縦 67cmx横 55cm) 号数 P10号
 
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               ユトリロ「ミュラー通り」 この通りは丘に上る階段になっていて、彼の住むコルトー通りの庭から写生できたといいます。
 所蔵 個人蔵 サイズ (縦 67cmx横 55cm) 号数 P10号
 
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               ユトリロ「ルピック通り」 批評家のジュールダンらが彼の絵を高く評価したのは、白とクリーム色を多く使って新しい色調を求め続けた彼の姿勢でした。パレット・ナイフで絵の具を塗りこめる技法も用いています。
 所蔵 個人蔵 サイズ (縦 67cmx横 55cm) 号数 P10号
 
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               ユトリロ「郊外の通り」ユトリロは12歳の頃から酒を飲み、17歳でアルコール中毒の為入院します。気分転換療法として彼の母親が我慢強く絵を教え、20歳の頃から次第に熱中するようになりました。この作品は初期の作風の特徴を示す佳作のひとつです。
 所蔵 個人蔵 サイズ (縦 55cmx横 67cm) 号数 P10号
 
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               ユトリロ「ドウィユの教会 」 パリから20キロ離れたこの教会のたたずまいは自分の聖体拝受の日にみた白い服の少女を連想させたのでしょうか。「白の時代」を代表する最も密度の高い作品です。
 所蔵 個人蔵 サイズ (縦 55cmx横 67cm) 号数 P10号
 
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               ユトリロ「サン・リュスティック通り」 1920年になると冬はパリ、夏は母ヴァラドンが買った城にアトリエを持ち、安定した生活に入ります。この通りの安ホテル、街灯、カフェの看板とサクレ・クールの白いドームの対比が鮮やかな作品です。
 所蔵 個人蔵サイズ (縦 61cmx横 73cm) 号数 P10号
 
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               ユトリロ「雪のサクレクールとサン・リュスティック通り」  1928年ユトリロはレジョン・ドヌール勲章を受け、世界各地で展覧会も開かれるようになります。彼の生活そのものであったモンマルトルの、特に親しみ深いモチーフを白い雪におおわれた清浄な画面に仕上げています。
 所蔵 個人蔵 サイズ (縦 61cmx横 73cm) 号数 P10号
 
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               ユトリロ「パリのサン・ジェルヴェ協会」 初期の暗い色調の作品から次第に白を基調にした重厚さと鋭い造形を見せる白の時代が始まります。製作欲も旺盛で1年に600点もの作品を描きます。セーヌの河岸に立つ教会と古いパリの街並がよく調和して、白の時代初期の力作です。
 所蔵 個人蔵 サイズ (縦 61cmx横 73cm) 号数 P10号
 
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